特集2 ふくろう 都会のフクロウアオバズク  PDF

特集2 ふくろう

 協会は2009年度より、ふくろうをマスコットマークとして採用している。ふくろうは古代ギリシャでは女神アテナの従者であり、「森の賢者」と称されるなど知恵の象徴とされていたそうだ。またヨーロッパではしばしば学問の神、英知の象徴とされる。最近は日本でも「不苦労」「福郎」の語呂合わせから福を呼ぶものとされている。医師の団体としてふさわしいマスコットマークと考え、協会60周年記念祝賀会での初披露以来、協会ホームページはもちろん、各出版物などに常に掲載している。今回はそんな協会マスコットの認知度をより深めるために、ふくろうにちなんだ特集を組んだ。

都会のフクロウアオバズク

 京都市の真ん中で、野生のフクロウが観察できることをご存じだろうか。

 京都御苑には、毎夏アオバズクが営巣を行いに、はるばる東南アジアから飛来する。青葉の頃にやってくるから「アオバズク」。楠など木のほこらで生活する、フクロウ目フクロウ科アオバズク属の鳥である。この鳥について教えていただこうと環境省自然環境局京都御苑管理事務所の職員にお話をお伺いした。

 全長は約30?で、意外と小さい。猛禽類だが、主食は昆虫。雛鳥には昆虫の羽をむしって与えることから、巣の下には昆虫の残骸が多く残っており、そこから御苑の昆虫相の研究も行われている。営巣は少なくとも2カ所、多い時には5カ所で確認されたこともあり、御苑の南西に位置する宗像神社は、1992年9月29日に「京都の自然二百選」でアオバズクの営巣する森として選定された。最近ではカメラを趣味とする人たちも多く訪れ、雛鳥の巣立ちまでを見守っている。

 アオバズクの多くは4月下旬頃に飛来し、5月下旬から6月中旬にかけて産卵、抱卵する。6月下旬から育雛期に入り約1カ月で巣立ちを迎える。雛鳥は、巣立ち後しばらくは巣の周辺で親鳥と生活し、狩りなどの技を磨く。しかし、最近は巣立ちを迎えるとすぐに、巣の周辺から姿を消すことが多いとのことだった。

 フクロウ科の鳥は夜行性で、日中は木のほこらなどで休んでいるというイメージがあったが、アオバズクは卵を温めるときにしかほこらに入らず、それ以外は、木の枝に止まっている。観察にはもってこいの鳥である。

 昨今の大きな悩みは、一部のマナーを守らない観察者とのこと。過剰に近づきすぎる観察や撮影、親鳥の鳴き声をテープ等で流し、侵入者と誤解させ無理に目を開けさせ撮影するなど、アオバズクにストレスを与える多くの事例が報告されている。こうした状況を改善しようと、観察者同士で声をかけ合い、目に余る行為は注意をするなど、観察者間でマナー向上に努める様子をお聞きした。

 最近は営巣を行うほこらをムクドリに先取りされるなど、住宅難でもあるアオバズク。観察がなるべくストレスとならないようマナーを守り、引き続き御苑で営巣できる環境を守っていきたい。

 なお、京都御苑管理事務所では年4回、一般の方を対象に自然教室を開催し、四季折々の御苑の動植物を観察している。ご興味のある方はぜひご参加を。参加費100円(保険料)。問い合わせは管理事務所まで(075・211・6348)。

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