【主張】改正国税通則法と医療現場への影響  PDF

【主張】改正国税通則法と医療現場への影響

 2013年1月より改正国税通則法による新たな税務調査手続きが施行されることになった。改正後の二つの変化として、まず徴税権限の強化が図られ強権的調査対応が増える可能性のあること、次に調査手続きに新たなルールが設けられたことが挙げられる。

 改正後、税務調査手続きは事前通知を前提とする。通知されるのは10項目で、調査を開始する日時・場所・目的・対象となる税目・調査期間・帳簿書類とその他の物件・調査対象納税者の氏名及び住所・調査担当職員の氏名と所属部署等であり、このうち日時と場所は変更可能である。口頭通知が一般であるため、これら10項目に漏れがある場合は手続きが不十分とされ、調査が無効となることもありうる。税理士にも同じことを通知されるので、納税者と税理士はすべての項目についての確認が重要となる。

 帳簿類の「提示・提出」が改正法で規定されたが、税務調査は任意調査であるため、あくまでも納税者の承諾を得ることが前提となる。ただし、「正当な理由なく」提示・提出を拒むと罰則がある。提示した帳簿類(コピーを含む)を税務署へ持ち帰ることについては、「必要があるときは留め置くことができる」という規定も新設された。留置きの対象となった帳簿類の返還は義務付けられている。

 最後に、調査終了の通知が明確化された。これにより、納税者に処分の理由が明記され、不服申し立てに関する文書の交付も義務付けられた。改正後の文書通知により明確化されることは、納税者の権利が守られる面もあると考える。

 今般の改正国税通則法にはすべての処分に、理由附記の義務付などのメリットと強権性や罰則規定の強化などのデメリットがあるため、税理士と納税者、特に税理士の積極的な働きが重要となる。今改正が不利益に乱用されないように、協会は十分な検討を行っていく所存である。

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