地区医師会長との懇談会開く/改革推進法や開業医医療の在り方で意見交換  PDF

地区医師会長との懇談会開く

改革推進法や開業医医療の在り方で意見交換

 協会は10月6日、地区医師会長との懇談会を開催した。冒頭、垣田副理事長から「三党合意の結果成立した『社会保障制度改革推進法』の問題性」「開業医医療の今後の方向性」、関理事長より「韓米FTAに学ぶTPPの問題性」について情報提供を行い、その後、意見交換を行った。

 協会からの情報提供に関し地区会長からは、社会保障制度改革推進法やTPPの問題について認識を新たにしたことが語られた。社会保障制度改革推進法の「共助」や「家族の助け合い」という考え方と結びつくと、在宅医療を希望する患者の取扱が難しくなる。マンパワーが不足している状況で、家族が疲弊していくのを見ると、国の在宅誘導は本当に正しいことなのか疑問に思うとの意見が出された。

 また、地域包括ケアについては、各地区医師会が中心となり、それぞれの地域ですべての職種が集まって実働部隊を作っていかなければ、京都府に包括支援機構ができても成り立たない。全体として取り組んでいかないと地域包括ケアは絵に描いた餅になるとの指摘があった。

 さらに、厚労省から出された専門医制度の在り方で1. 専門医の認定を中立的な第三者機関で行う、2. 「総合医」「総合診療医」を基本領域の専門医の一つとして加える、3. 診療科や地域における医師数の適正数を誘導する等の報告が出されていることについて、第三者機関の構成や、総合医の検討が医療費削減を目的にされていることや、専門医数の国による管理は、自由開業医制への影響が懸念されるなどの危惧が示された。

 協会からは、いま病院では総合診療医がはじめに患者を診て各診療科にふりわけているところがあるが、そうした機能を国は地域包括ケアの中で位置づけようとしている。退院後の在宅患者は在宅療養支援診療所でないと診られないようにして、そこに固定化させようとし、一方病院は急性期から慢性期まで機能分化させ、病院機能の限定化を行おうとしている。このシステム化を通じてトータルでの医療費抑制を狙っており、このような機能分化の入口に総合医を位置づけようとしている。一体改革の描く2025年の医療においては在宅療養支援診療所以外の開業医が全く位置づけられていない。実際の地域の連携システムは支援診以外の医師も含めて考えなければならないし、また、医師を中心にヘルパー等各職種団体と連携して構築していかなければならない。専門医制度も、こうした地域医療の大きな枠組みの中で捉えていきたいと回答した。

 その他にも、日本のTPP参加の是非や、原発問題への対応、院外処方の是非、それぞれの地区医師会で抱えている問題点や取り組みなどについて意見が交わされた。

地区医師会長との懇談会のようす

地区医師会長との懇談会

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