決議
政府は「社会保障と税の一体改革」をすすめている。その目的について政府は、「急速な少子高齢化の進展による社会保障給付に要する費用の増大および生産年齢人口の減少に伴い、社会保険料に係る国民の負担が増大するとともに、国及び地方公共団体の財政状況が社会保障制度に係る負担の増大により悪化していること等に鑑み、安定した財源を確保しつつ受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度の確立を図るため」と述べている。そのための財源を消費税に求め、社会保障目的税化し、消費税増税を目論んでいる。「社会保障の充実」は口実であり、国の社会保障に対する責任を放棄するものである。このような「社会保障と税の一体改革」の撤回を強く求める。
TPP(環太平洋連携協定)への交渉参加を進めようとしている政府は、国民皆保険制度については議論していない。いくら政府が国民皆保険制度を堅持するといっても、アメリカは我国の国民皆保険制度を貿易障壁としてとらえ、市場化、営利化を迫ってくる。日本の医療の公益性と安全性を脅かすものであり、TPP交渉参加を進めようとしている政府に対し、強く抗議し、交渉からの撤退を求める。
私たち保険医は、今こそ国民皆保険制度を守り、安全で安心な医療・介護が提供できる国民本位の医療制度、社会保障制度の確立と充実を願うものである。その実現を目指し、「社会保障基本法」の制定運動を進める。
また、政府が原発事故の調査を進めるとともに十分な被災者救済を行い、今後のエネルギー政策を直ちに転換するよう求める。
これらの要求を軸に以下のとおり決議する。
一、「社会保障と税の一体改革」を撤回すること。
一、患者負担を引き下げること。
一、消費税を増税しないこと。医療への消費税ゼロ税率を適用すること。
一、医療の公共性と安全性を崩壊させ、我国の主権を脅かすTPPへの参加を止めること。
一、憲法25条の理念を具体化する社会保障基本法を制定し、国民本位の医療・介護・年金・福祉制度を確立すること。
一、すべての原発から、ただちに撤退すること。
2012年7月29日
京都府保険医協会 第65回定期総会(第183回定時代議員会合併)