ドイツの経験学ぶ/内部被曝で講演会
IPPNW京都府支部は、市民と科学者の内部被曝問題研究会(内部被曝問題研)と共催、核兵器廃絶京都ネットワークの協力のもと、6月28日、キャンパスプラザ京都で、市民公開講演会「チェルノブイリ―フクシマ〜ドイツの経験から学ぶ〜」を開催。市民ら150人が参加した。
内部被曝問題研呼びかけ人である松井英介氏の司会で進行し、三宅成恒・IPPNW京都府支部長の挨拶で開会。
岡山大学・環境生命科学研究科教授の津田敏秀氏、内部被曝問題を世界で初めて指摘したドイツの研究者インゲ・シュミッツーフォイヤハーケ氏(ヨーロッパ放射線リスク委員会ECRR委員長)、ドイツ放射線防護協会会長のセバスチャン・プフルークバイル氏らが、低線量被曝の危険性をさまざまなデータをもとに訴えた。
講演では、100mSv以下の被曝による被害は見られないとする論について、津田氏は、疫学統計学の観点から問題点を指摘した。福島県での健康調査についても、曝露推定していないことや、甲状腺がんのみに注目していることなどを解説。年間と生涯被曝を区別できていないのではないかと感じることが多いと訴えた。
インゲ氏も、実際には100mSvよりはるかに低い線量の被曝においても推計的影響が予測されるとした。
セバスチャン氏は、「ドイツの原子力発電所周辺のがんと白血病調査」を紹介。原発付近の調査地域に住む子どものすべてのがん、白血病について、原発からの距離が遠くなるにつれ、発病率が下がったという結果を報告した。そして「原発が稼働し続ける限り、安心して生活ができない」と訴えた。
最後に、内部被曝問題研の松井和子氏が、24日に福島県で開催された市民科学者国際会議のセバスチャン氏らの文書「親愛なる子どもたちへ」を読み上げ、「私たちの力は小さいかもしれない。けれども、私たちはこれからもできる限り真実を探すと君たちに約束します。そして真実について、人びとと分かち合っていきます。私たちは諦めないと約束します」と誓った。質疑応答では、セバスチャン氏の調査についての詳細や、日本でも同様に公平な疫学調査を行うためにはどのような工夫が必要かなどの質問が出され、活発な意見交換が行われた。
参加者多数となった会場の様子