代議員月例アンケート68/2012年度診療報酬改定の不合理点などについて  PDF

代議員月例アンケート68

2012年度診療報酬改定の不合理点などについて

実 施=2012年6月12日〜22日  回 答=43
対象者=京都府保険医協会代議員95人  回答率=45・3%

 2012年度診療報酬改定を、会員がどのように実感し、評価しているのかを把握するために、改定後2回のレセプト請求が終わった6月の中旬に代議員アンケートを実施した。今改定では再診料が据え置かれ、会員の多くを占める診療所や中小病院には明るい材料を見出すことが難しい中、時間外対応加算と一般名処方加算への対応と、改定全体に対する不合理点等について意見を聞いた。

レセプト請求後の感想…不合理是正されず

 回答者の内訳は、診療所40人、病院3人、また内科系29人、外科系14人であった。

 初めに、2回のレセプト請求を終えた段階で改定に対する感想を質問した。「変化を感じない」「特になし」が大半で、「点数改定自体より電子カルテの更新作業に手間取った」との意見もあり、診療所・中小病院にとっていかに変化のない改定であったかがうかがえる。変化がないということは、これまで指摘されてきた不合理点の多くが是正されなかったことの証左でもある。

時間外対応加算届出しないが6割超も

 次に、前回改定で新設された地域医療貢献加算が名称変更され、3区分化された時間外対応加算の届出状況と問題点を診療所の会員に質問した。その結果、届け出ているのは全体で15人・37%、内科系では12人・44%であるのに対し、外科系は3人・23%にとどまった(図1)。その内、算定にあたり問題があったと答えたのは1人で、「時間外対応を求められたが、何らかの理由で時間外対応ができない時があった」としている。

 一方、届け出ていないと答えた方25人にその理由を確認。「24時間・365日対応〔1(5点)〕や、平日準夜10時まで対応〔2(3点)〕ができない」が最も多く14人・56%、「できる限り時間外の電話対応をしているが、届出には及ばない」が9人・36%、「時間外の電話対応はしたくない」が5人・20%、「この点数が気に入らない」が4人・16%であった。(図2)

時間外対応加算廃止し、再診料引き上げを

 さらに時間外対応加算の不合理点や改善点について質問した。「廃止して、再診料を引き上げるべき」が最も多く23人・58%、「届出制は煩雑なので廃止してほしい」が5人・13%、「名称を直すべき・名称を元に戻すべき」が2人・5%であった。(図3)

 この結果からは、24時間365日対応や平日準夜10時まで対応は開業医には厳しいとの意見がある一方、時間外の電話対応は当然しているが、届出はしたくないとの思いが強いと感じられる。わずかな点数で時間外対応を強いる政策誘導への反発と、時間外対応加算でお茶を濁すのではなく、再診料の引き上げで開業医の医療をきちんと評価してほしいとの思いが表れていると考えられる。

代議員月例アンケート68、図1〜3

一般名処方加算で半数近く問題あり

 次に、処方せん料の一般名処方加算について質問した。「算定している」が全体で16人・37%、内科系は13人・45%だったが、外科系は3人・21%にとどまった。(図4)

 算定していると答えた方16人に、算定に際して問題があったか確認したところ、7人・44%の方が「薬剤師が手間とる」「患者さんが一般名にしたのでわからないとの事で説明をしている」「一般名がなかなか覚えられず、元々処方していた商品名と一致しない」などの理由で問題があったと答えた。

薬剤は主治医の責任で選びたい

 算定していないと答えた方25人に、その理由を尋ねた。「どのような後発品が処方されるのか分からないので」が最も多く15人・60%、「一般名を書くのが面倒だ」が7人・28%、「後発品を信用していないため」が4人・16%であった(図5)。一般名で記載して調剤薬局でどのような後発品が出されるか保険医自身がわからない中では処方したくない、との医療に対する責任感の表れであると考えられる。

 続いて一般名処方加算の不合理点、改善点について質問し、「医療を受ける患者さんにとっては納得できる加算ではない」「銘柄によって適応病名が異なるのを改めるべきである」「主治医が適用を決め、後発品を選択すべきと考える」などの意見とともに、このような加算は廃止すべきであるとの意見もあった。

今次改定で新たな不合理も

 最後に、今改定を通してさらに増えた不合理点を質問したところ、「外来リハビリテーション診療料の対象期間中に初・再診料が算定できないこと」と「診療報酬で維持期のリハビリテーションが次回改定で評価されないとされたこと」がそれぞれ5人、「機能強化型在宅療養支援診療所・支援病院の『看取り実績2件以上』の施設基準」が4人、「認知症療養指導料について、特定疾患療養管理料が別に算定できないこと」が3人であった(図6)。また、患者の態度や受診行動の変化についても質問したが、変化があると答えた方は3人・7%にとどまり、変化はないと答えた方は28人・65%であった。(図7)

代議員月例アンケート68、図4〜7

開業医の医療と役割評価が最大要求

 今改定は、一体改革推進の第一歩として位置づけられ、急性期医療への資源集中、入院医療機関の機能分化と入院から在宅への促進を中心に形作られた改定内容であった。一般診療所や中小病院に関わる部分についてはほとんど変化がなかったことが、アンケート結果で裏付けられた。再診料の引き上げもなされず、さらに不合理是正もほとんど手つかずのままである。

 国民皆保険の中で、患者に最も身近なところで医療を担ってきた開業医の役割を、今後どのように位置づけ、どのように評価するのか、我々の側から考えるべき時にきている。協会では、このアンケート結果を踏まえ、2014年度診療報酬改定に向けた活動を強め、運動に繋げていく所存である。

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