医界寸評
最近、有床診療所(以下、有床診)を応援する議員連盟が設立された。有床診は減少の一途をたどっている。1989年頃には2万3千施設あったのが、2011年には半数以下の1万施設に減り、病床数も27・2万床から13・1万床に減っている。2011年1年間でも、497施設、5千6百床減り続けている。はたして有床診がこのまま自然消滅していいのだろうか。
有床診は入院機能を有する19床以下の医療施設であり、地域に密着した施設として多様なニーズに応えている。有床診療所の病床が果たしている役割としては、1. かかりつけ患者の一時的入院、2. 病院からの退院患者の受け皿や、在宅・介護施設への橋渡し、3. 手術等の専門医療提供、4. ?在宅医療の拠点、終末期医療(看取り)を担う役割、5. 救急に対応する機能等があるが、特に、へき地、離島、農村、山間部、小規模都市においては休日・夜間救急でも大きな役割を果たしている。かかりつけ医は患者の全体像を把握しているし、患者の方も自宅から近く、入院しても医師が変わらないので安心感を持っている。
無床化の理由としては、看護職員の雇用困難、医師の過重負担等があるが、ビジネスホテルより安い入院基本料等、診療報酬の評価の低さも大きな原因である。高齢社会における地域医療・在宅医療の中核としての有床診の役割を再度見直し、病院と有床診が共存、連携できるような施策を望みたい。(彦)