医界寸評  PDF

 「マイナンバー法」が2月14日、国会に上程された。バレンタインデイへの贈り物ではない。別名「共通番号法」という。一人一人の国民すべてに番号を振りつけ、その生涯にわたって年金・雇用・医療・介護などの収支管理をするという。幾度となく出たり消えたりしているが大きなお世話だ。社会保障総背番号制度というのもあった。「税と社会保障の一体改革」にも?給付と負担の公平?の理屈が貫かれている。

 無条件で国家にすべてを任せるには国民の理解は未だし、というマスコミ調査も多い。医療の先行きも不透明で、肝心の国の行く末自体が闇の中である。住基台帳の時に明らかになった情報漏えいはないのか。

 情報を巡って、国家と人権は絶えず緊張の関係にある。20世紀初頭のドイツ、ユダヤ民族虐殺に至る前、城砦で囲まれた都市国家の間をさすらうジプシーは弾圧の対象となった。情報伝達の未発達な社会にあって、遊牧民族の彼らが伝える情報は貴重だった。アラブの春・中東の政変も耳に新しい。

 「共通番号法」が動き出すとき、海外に資産を移す投資家や大企業、株式の売買で巨額な金を動かすキャピタル・ゲインも捕捉・課税されるのか? 根本部分での不信は消えない。

 ちなみに、「医療を成長産業にする」という政権は、「歳入庁」の設置という形で国民の懐に手を突っ込んでくる意図をついにあからさまにした。とんでもない法案に、ご用心、ご用心。(光)

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