京都府薬剤師会と懇談/後発品の変更等で相互理解すすむ
協会は従来より適宜行ってきた京都府薬剤師会との懇談会を12月22日に開催した。薬剤師会から5人、協会から8人が出席し、司会は薬剤師会の茂籠専務理事がつとめた。同会の宇野副会長が、前日に決定した2012年度の診療報酬改定率にふれ、「薬価は▲1・375%(▲5500億円)となり、薬剤界の財政はますます厳しくなりそうだ」と述べるとともに、「今後も医療機関と密に情報交換を行うなど、情報収集に努めていきたい」と挨拶した。
意見交換では、薬価改定について、薬剤師会から、卸や製薬メーカーだけでなく、保険薬局に及ぶ窮状が述べられた。「昔、薬局における薬剤のストックは、200品目で事足りたが、今や1000品目必要とされている。患者は増えないにもかかわらず、ストックすべき薬の種類だけが増えていく」という。そして、今改定で検討されている、処方せん様式の変更について、「現在は、処方せん1枚に対して医師の『変更不可』のサインは1カ所だが、各薬剤にサインが必要になればより煩雑になる」と懸念し、「処方が後発品で変更不可の欄にサインがあった場合、ストックがなければ、すぐに患者に渡せない。できれば一般名で処方してほしい」との見解を述べた。
続いて、先発品と後発品とで効能効果が異なる医薬品について意見交換。厚労省は先発品との同等性の基準を、同一成分が80%以上であることを条件としている。同じ薬効成分を同量含む製剤であっても、製造元によって添加物の種類や組成が異なるほか、製剤をコーティングする物質や方法が異なる場合があるため、患者にとっては効くか効かないかだけでなく、においや味など感覚的な部分で微妙な違いがある。薬剤師会は、「先発品と後発品それぞれの薬学的データだけでなく、『薬剤を変更した場合の不具合』(効かなかった、味が合わなかったなどの患者からの訴え)に関する情報収集を行っている。ただし、『薬剤を変更したことによる副作用』の把握は、一定期間が経たなければ、本当にそれが原因か、特定することは難しく、また臨床面における副作用は薬剤師が判断できない部分も多い」とし、医療機関側からの情報提供を求めた。
また薬剤師会は、効能効果の違いがある薬剤については原則変更しておらず、さらに、適応病名の違いがある薬剤については、医師への照会なしには変更していないと述べた。とくに「効能効果、用法用量等に違いのある後発医薬品リスト」(日本ジェネリック医薬品協会ホームページで掲載)で挙げられている約30成分については、適応病名を医療機関に確認して変更すること、と会員に周知している。ところが、10年より協会けんぽで実施が始まった差額通知(被保険者に対し、後発医薬品に切り替えた場合の自己負担軽減額を通知する)は、効能効果の有無を無視して後発医薬品が記載されており、薬剤師会は困惑している。「薬局では、診断名がわからないので、適応病名かどうかの確認がすぐにできないこともあり、その確認を誤れば医療機関側の査定になるケースもあると聞く」と説明。協会からは「そういった例はあるかもしれないが、薬局が医療機関への照会なしに医薬品を変更したことによる査定は最近聞かなくなった、薬剤師会のおかげである」との認識を示した。
その他、チェーン薬局のポイント付与の問題などの意見交換を行った。