医療安全対策の常識と工夫(43)
トラブルの気配? チェック(5)「事後処置」
医療事故あるいは医事紛争は(医師でさえも)不測の事態の発生にその端を発しているのがほとんどです。当然のことながら、医療のプロたる医師をはじめ医療従事者は、そのハプニングに冷静かつ適切に対処することが要求されます。
「事後処置」では医療機関内での救急救命措置や再手術等、直接の対応はもちろんのこと、高次医療機関への患者搬送のタイミング等も確認されます。救命措置では日頃からAEDをはじめ、心マッサージや気管内挿管の技術を再確認しておくことが望ましいでしょう。京都府保険医協会では、AEDや救急蘇生人形等を常時貸し出ししていますので、是非ご活用下さい。
また、傾向として搬送の遅延が問題となることが多いようです。不測の事態が発生した場合に、当該医療機関内で何とか対応したいと考えるのは、ごく自然なこととして理解できるのですが、(明らかに)対応できる範囲を超えた場合には、患者さんを速やかに搬送する義務があります。このタイミングを逸すると、事故それ自体の責任を問われなくとも、後の対応が適切でないと判断され、賠償責任を課せられる可能性が出てきます。つまり医療機関のその時その時の判断が重要視されるのです。これは言うほど容易なことではないようですが、緊急事態の時ほど尚更留意しておかなければなりません。更に、緊急事態時の記録も後に重要となるでしょう。若干記載が遅れることは問題ないですから、時間を見つけてカルテ記載をしておくことをお勧めします。
次回は、今までお話しした5つのチェック項目のまとめです。