シリーズ 環境問題を考える(109)
エネルギー問題を考える(2)
(承前)持続可能な社会を目指すことを前提とするとき、様々なエネルギー資源をどう選択すべきであろう。
(1)化石燃料は貯蔵が本質であるゆえの資源的制約と、物質起源であるゆえの環境的制約の両者から逃れられない。石油は現在がピークオイルを迎えている時代でもあり、また石炭は石油の3倍程度の可採年数があり、今すぐ危機を迎えるわけではない。しかし今後は、まず高品位なものが枯渇し低品位なものへ移行するであろうし、それは採掘と製品化の困難(コスト)増大と相まって価格の高騰を招き、更に不用な物質を多く含むため環境負荷も増大する。石炭から石油へと移行し現在は石油が中心となっているが、資源量からいずれはより環境負荷の大きい石炭へ移行するのだろう。いずれにしてもこれら化石燃料は資源的制約と環境的制約から使用はきびしく制限されつつ、なお長期にわたって使われるであろう。
(2)核燃料は、いかなる理由があろうとも、エネルギー源に選択すべきではない(理由は京都保険医新聞などでくり返し述べられている)。
(3)再生可能エネルギーは前回述べた通り太陽光起源である。太陽光はすぐれたエネルギー源である反面、総エネルギー量は大きいがエネルギー密度が低いこと、そのままでは蓄えておくことができないことが基本的な制約として横たわっている。太陽光のもう一つの特徴は地球上どこでも降り注ぎ、化石燃料のような地域的偏り(富の偏在)がないこと。さらにこの太陽光起源の再生可能エネルギーの持つ大きな特徴は、資源エネルギー利用のような大規模・集中型ではなく、地域で自給的に使われる小規模・分散型に適したエネルギー源で、環境エネルギーとも呼ばれる(例えば風力発電も巨大化すれば環境への影響は飛躍的に大きくなるし、バイオマスも石油代替資源エネルギーと捉えると矛盾が生じるという)。再生可能エネルギー利用には、今までの資源型エネルギー利用とは異なる発想に基づくシステムの構築や、乗り越えるべき技術的課題も多い。しかし、化石燃料、核燃料の問題点を考えるなら、再生可能エネルギーをエネルギー源の中心にしていくほかないものと思われる(機会があれば個々の再生可能エネルギー、省エネ、エネルギー利用効率改善などについても考えてみたい。藤原書店「21世紀の全技術」を参照させていただいた)。
(環境対策担当理事 飯田哲夫)