シリーズ 環境問題を考える(108)  PDF

シリーズ 環境問題を考える(108)

エネルギー問題を考える(1)

 3月11日以降、地震・津波、原発事故の報道を読み、聞くと暗澹たる気分になるが、ここではエネルギーを話題に将来への展望を試みたい。

 まずよく知られていることであるが、エネルギー資源には2つの区分があり、それは(1)物質起源エネルギーと(2)光起源エネルギーである。(1)物質起源はスットック(貯蔵)が本質であり、使ってしまえばお終い。いわゆる枯渇性エネルギーで、化石燃料(石油、石炭、天然ガスなど)と核燃料(ウラン)。そしてこれに属するものはその使用により後に廃熱と廃物が生じ、様々な環境問題の原因になる(熱汚染と物質汚染)。そして前者(熱)は原理的には赤外線として宇宙空間へ拡散させられるが、後者(物質)は地球上に止まる。そのことも含めて、その汚染を元に戻すのは後者が格段に困難である。(2)光起源(太陽光起源)はフロー(流れ)であり(太陽が燃え尽きるまで)持続的に利用できる。そして使用によって廃物は残らない(廃熱は生じる)。いわゆる再生可能エネルギーである(再生可能は時に誤解されているように一度使ったエネルギーを何らかの手段を講じてもとへ戻してもう一度利用するという意味ではない。使ってしまっても太陽光は降り注ぎ続ける)。太陽光(発電)、水力(太陽によって地上の水は蒸発、雨となって高いところに降り注ぐと位置エネルギーが生まれる)、風力(太陽光を中心にした地域的な温度差によって生じる)、バイオマス(植物光合成起源)、そのほか波力、海洋温度差利用など。(これらに属さないものとして、潮汐、地熱など)。そしてこれらは(1)熱源、(2)(動力用)燃料、(3)発電として、(1)産業部門、(2)業務部門(オフィス、ビル、自営業、サービス業、学校、病院など)、(3)家庭部門、(4)運輸部門、その他で使われる。

 エネルギー資源の選択、エネルギー利用の削減・効率化などについては次回に。 (環境対策担当理事 飯田哲夫)

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