保険診療の基本と眼科における返戻・査定の実例を解説  PDF

保険診療の基本と眼科における返戻・査定の実例を解説

 眼科診療内容向上会が4月16日、京都府眼科医会と京都府保険医協会との共催で市内のホテルで開催された。眼科医会の中路裕副会長が「保険診療の基本」と「返戻・査定対象になる例」について講演。同氏によるレポートを掲載する。

眼科診療内容向上会レポート

 今年度は診療報酬改定がなかったこと、若い会員が増えたこと、また新人スピーカーということで「保険診療の基本」と「返戻・査定対象になる例」について話した。

 保険診療にはルール(制限)がある。無診察治療等の禁止(医師法第20条)、特殊療法・研究的診療等の禁止、混合診療の禁止、健康診断の禁止、濃厚(過剰)診療の禁止、疾病予防のための投薬・注射等の禁止などである。その中で混合診療に関しては、賛否両論があるが、現在では2006年10月に従来の「特定療養費制度」に代わり保険外併用療養費制度が創設され、評価療養(将来的に保険導入を前提)と選定医療(保険導入を前提としない)が例外的に混合診療が認められている。眼科領域でいえば、08年に保険適応になった「眼底3次元画像解析」は評価療養の結果である。また現在、「多焦点眼内レンズ」が評価療養に組み入れられており、近い将来保険適応になるものと思われる。

 以上のルールに則って「(1)保険医が、(2)保険医療機関において、(3)医師法、医療法、薬事法、健康保険法等の各種法令の規定を遵守し、(4)保険医療機関及び保険医療養担当規則を遵守し、(5)医学的に妥当な診療を行い、(6)診療報酬点数表に定められたとおりに請求を行っている」場合に保険者から診療報酬が支払われる。日本眼科医会が本部見解を出しているが、保険請求はあくまでも「診療報酬表の解釈」が基本になる。本部と支部の見解の相違があった場合は支部の見解を優先することになっている。

 次に、審査において査定・減点・返戻になっている例を挙げて、注意を喚起した。他科でもそうだと思われるが、投薬・検査において病名不一致が多い。また、保険診療の制約をよく理解して請求して欲しい。例えば、超音波Aモード法と光学的眼軸長測定の同時算定は不可となった(併施の場合は要注記)こと、新薬の投与量の制限(2週間分)、光凝固(その他特殊なもの)は限られた病名(状態)しか算定できないことなど。さらに、CL検査料を算定している時の初診・再診、1カ月に一度しかできない検査等に注意が必要である。

 将来的に診療報酬アップが難しい状況の中、消極的ではあるが査定・減点を避けるために、レセプトは医師(開設者)自身がチェックして整合性のあるレセプト作成を心がけてほしい。(西京・中路 裕)

101人が参加した眼科診療内容向上会
101人が参加した眼科診療内容向上会

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