理事会アピール 東日本の地域医療の再建のために
被災地への医療従事者の長期派遣など、国の責任による迅速かつ十分な施策の策定・実施求む
2011年3月11日の東北地方太平洋沖及び長野県北部の地震、津波により、東日本は大きな被害を受けました。特に太平洋沿岸を襲った津波は医療機関及び医療従事者を飲み込み、我々の仲間の多くが命を奪われ、行方不明となっています。
辛うじて残された医療機関には被災した患者が多数搬送され、身を寄せています。現場の医療従事者が、自らも被災者であるにも関わらず、休みなく従事している様子が報道されています。しかし、被災地の患者の健康を守るために、献身的な努力が続けられていますが、現場の医療従事者の疲労は限界に近付いています。
また、西日本からも、医師会や保険医協会の主導により、休診又は休日返上して被災地に赴く開業医や、医療機関から派遣されて赴く勤務医がいます。しかし、他府県からの自主的な援助にも限界があります。厚生労働省は、被災した患者を受け入れた医療機関や、医師、看護師等を派遣した医療機関における施設基準を緩和する等の事務連絡を全国に適用していますが、抜本的な解決策ではありません。
「2008年度医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」によれば、東北6県及び東京都を除く関東6県における人口10万対医師数は全国平均を下回っています。また「2008年保健・衛生行政業務報告」によれば、宮城・福島及び関東7都県における人口10万人対看護師数は全国平均を下回っています。震災以前より厳しい状況にあった地域医療の現場を大震災、巨大な津波が襲い、破壊したのです。
破壊された東日本の地域医療の再建のためには、国の責任による迅速かつ十分な施策の策定と実施が求められており、わたしたち京都の保険医は、以下の二点を政府に求めます。
一、国の責任により、被災地の医療機関が求める医師、看護職員、その他医療従事者の長期に渡る派遣を、負担を偏らせることなく実施できる施策を迅速に策定・実施すること
一、国の責任により、被災した医療機関再建のための迅速かつ十分な公的助成を行うこと
政府、財務省、厚生労働省、衆参両国会議員など、関係各方面におかれましては、ぜひ上記の実現のため、ご努力いただくことをお願いします。
2011年4月26日
京都府保険医協会
第21回定例理事会