基金が突合・縦覧点検 コンピュータによる審査を強化  PDF

基金が突合・縦覧点検 コンピュータによる審査を強化

11年度から実施予定

 支払基金本部は2月28日の記者会見で、2011年度の事業計画を説明。審査・支払業務において「確立したITを最大限に活用する仕組み」への転換を宣言した。その内容は、11年1月13日に発表した「支払基金サービス向上計画(11年〜15年度)―より良いサービスをより安く―」を着実に実施するというもので、(1)コンピュータチェックの充実、(2)突合点検及び縦覧点検―の2点を11年4月審査分から実施するとした。ただし、震災の発生に伴い、4月実施は中止が検討されている。実施時期は不明。また、11年7月審査分からは入院分と入院外分の通覧点検も実施する方針も示されている。

 突合点検とは、処方せんを発行した医療機関のレセプトと、調剤した薬局の調剤レセプトとを、患者単位で照合する審査である。従来の調剤審査における1500点以上の調剤レセプトという制限は設けられない。また縦覧点検とは、同一の医療機関が同一の患者に関して、月単位で提出したレセプトを複数月にわたって照合する審査である。突合点検、縦覧点検の具体的項目は下表の通り。

 これにより15年度中に、(1)原審査査定点数の7割程度をコンピュータチェックにより行う、(2)突合点検で原審査請求件数1万件当たりの査定件数を100件程度に、原審査請求点数1万点当たりの査定点数を12点程度に、(3)縦覧点検で原審査請求件数1万件当たりの査定件数を35件程度に、原審査請求点数1万点当たりの査定点数を5点程度にする、という目標を掲げた。

 審査は個々のレセプトの内容について行われるべきであり、査定件数・点数の目標を掲げることは経済審査以外の何物でもない。このような数値目標の設定は止めるべきである。

 なお、突合点検において、先発医薬品と後発医薬品で適応症が異なる場合で、調剤薬局で処方せんに書かれた先発品を後発品に変更調剤した場合、「適応外」になることがある。この問題について支払基金は、医療機関、調剤薬局のどちらから差し引くのか、厚労省保険局医療課に照会中であると報告した。先発品の適応症で処方した保険医の診療報酬から差し引かれることは、保険医として到底納得できない。厚労省、後発品メーカーが責任を持って適応症を先発品に合わせることが必要だ。

突合点検の具体的項目 縦覧点検の具体的項目
クリックで拡大します

ページの先頭へ