医療安全対策の常識と工夫(34)
いつまでかかる?紛争解決
ひとたび、医事紛争に遭遇された医療機関は、その内容を吟味すると同時に、いつになったら解決するのだろうと考えてしまうのもまた理解できます。結論から言うと、解決時間はケース・バイ・ケースなのですが、京都府保険医協会で把握する数千件のデータから分析しますと、統計的には数値が出ます。これからお話しすることは、一応の目処ですので、その点を留意して、参考にしていただければと思います。
既にお伝えしましたように、医事紛争は主に、示談、調停和解、判決の何れかの方法で終結します。示談の場合は、協会、あるいは弁護士との協力の下に、話は進んでいく訳ですが、およそ平均して1年程度が解決に必要な時間となっています。ただし、実際には半年程度で解決するものが数としては多いようです。同じ示談でも弁護士が介入すると、手続き等に時間がかかるため、平均時間が長くなる傾向がみられます。
次に調停での和解ですが、これは弁護士のみならず裁判所が介入してくるために、示談のように比較的早い解決は見込めません。調停になれば2年はかかるとお考え下さい。
最後に訴訟ですが、我が国の裁判は効率化が進められており、若干、短縮化はされているようですが、それでも時間はかかります。医療裁判での終結は判決よりも主に和解が多いようですが、平均して4年かかっているようです。ただし、裁判にまで至ってしまうケースは、その内容も複雑で解決時間にも極めて大きなばらつきがあります。1〜2年程度で解決するものもあれば、10年以上の歳月がかかったものもあります。解決したときには、当事者である患者さんも医師も、既に他界していたということさえあり得ます。
注:調停になるもので2年、訴訟で4年としていますが、これは調停期間が2年、訴訟期間が4年ということではなく、紛争発生(調停や訴訟となる以前)から調停・訴訟の終了期間までを示します。
次回は、紛争を拡大させないための心得を紹介します。