医界寸評
「最近、会員さんからの医事紛争報告や相談が極端に減ってきましたよ」と、医療安全対策の事務局から言われた。データを確認すると、確かに5、6年前の3割以上、数十件減っている。全国的に見ても医療裁判は減少しており、なおかつ、医療機関側の勝訴率が1割以上増えている。少なくとも医療界にとっては朗報であろう
▼この状況は、数値だけ見れば1980年代に似ている。そして、1990年代後半から2000年代が如何に最悪の時代であったか、今更ながらに身に滲みる。80年代と似ていると先に述べたが、今は当然ながら2010年代を迎えており、決して80年代と同様ではない。協会は「今」の問題に対応していかなければ、医療界からも置いていかれることだろう
▼ご存知の通り、協会の事務局は9月の終わりに引っ越しを終え、ようやく落ち着いて業務に当たれるようになってきた。医師会や私病協等とも物理的な距離ができたが、協会の設立目的が変わるものではない。時代の変化は大きいが、人は時代を選べるものではなく、だからこそ時代を創っていかなければならないのだろう。協会は「今」の問題に対応していかなければならないと述べたが、もう少し言えば、「将来を見据えた上で」の一言がその上に付かなければ、会員、ひいては京都の医療界を守っていけないのだろうと思う今日この頃である。(フーちゃん)