主張/医業経営に資する雇用管理のために協会の活用を  PDF

主張/医業経営に資する雇用管理のために協会の活用を

 協会への相談の中で、スタッフとのトラブルをはじめ雇用に関するものが増えてきている。トラブルの理由は解雇、労働条件の引き下げ(サービス残業等)、職員同士のいじめ、嫌がらせなどである。

 09年度1年間で、全国の病院や診療所など医療保健業1216件に対し、労働基準監督署が労働基準法違反で是正勧告を行っている。一般業種に比べて極めて高い水準である。

 診療報酬も上がらず、消費税の損税をかかえ、窓口負担も増加傾向で受診抑制がみられる中で、経営は大変である。信頼のおけるスタッフを確保し、医療機器、医薬品を使い、施設の管理、水道光熱費等の維持費、借入金の返済などの費用を考慮しながら、経営バランスを維持していかなければならない。雇用形態も以前と比べて大きく変化し、常勤職員ばかりでなく、パートタイム職員や期間指定の派遣職員の増加もみられる。医院経営にとって適切な雇用管理は重要な問題となっている。

 11月には、月刊保団連臨時増刊号「医院経営と雇用管理」を会員にお送りし、協会もこのテキスト監修者である桂労務社会保険総合事務所所長の桂好四郎氏を講師に講習会を開催した。

 労働基準法は、憲法第27条第2項「賃金、就業時間、休憩その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」との規定から、勤労条件について最低の基準を定め、国が使用者に対して、刑罰をもってその遵守を求める法律であることを今一度認識しておきたい。ここから、労働刑法があり、労働基準監督官がおかれている。一方、08年3月1日から施行されている労働契約法は、「労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする」民事法である。同法は第1条で、「労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則」という文言を使い、労働契約は合意が基本であることを強調している。同年4月1日からパートタイム労働法も改正され、労使関係を定めた法律が大きく変わっている。

 医業経営に資する雇用管理を行うために、「医院経営と雇用管理」を多くの会員にぜひ活用していただくことをお奨めしたい。それでも雇用に関して困ったことが起これば、30分無料の相談室も設けているので、解決にむけてお役にたてるものと自負している。

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