医界寸評  PDF

医界寸評

 「訪問行ってベンツに乗ろう。」

▼再来年の春、制度発足から2度目の見直しを迎える介護保険と、医療保険の報酬改定時期が重なり大詰めの議論が進行中である

▼介護保険では制度の持続可能性と地域包括ケアシステム構築が二大目標になり在宅ケアが目指される中、療法士にとっては長年の夢である訪問リハステーション実現が注目を集めている

▼保険医療提供の場が、病院・診療所等の医療機関から在宅に拡大され、看護師による訪問看護ステーション開業が認められて久しいが、期待されたほどには事業は伸びず、相変わらず普及に向けてどう支援すべきかが模索されている

▼介護保険は、ケアマネジャーを筆頭に介護にかかわる多くの新しい職種を誕生させ、市場規模は発足時の2倍以上10兆円ともいわれる。今後団塊世代の高齢化につれてさらに拡大するはずで、サービスが増えるのは有り難いことではある

▼中でもリハビリは大切だし、特に訪問リハの有用性はもっと強調されるべきだ。しかし、一単位20分300点(介護保険では305単位)の報酬を一日15〜20単位請求する人達が現れ、先のかけ声と共に開業権を主張されると「ちょっと待って」と言いたくなる

▼徳川四百年の歴史の上に優遇される骨接ぎ・鍼灸がベンツを乗り回しているからといって同じ轍を踏んではいけない。介護の前提に適切なリハ提供は不可欠。誠実な医療者としての姿勢が問われている。(さ)

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