憲法25条実現する運動を京都から 九条の会アピールを支持する京都医療人の会が総会
九条の会アピールを支持する京都医療人の会は6月27日、記念講演に渡辺治一橋大学名誉教授、憲法漫談にナオユキ氏(笑工房)を迎えて2010年度総会を開催。一般市民を含めて82人が参加した。
記念講演のテーマは憲法25条。25条(生存権、国の社会的使命)のある国で、どうして今、貧困や格差が生まれているのか。25条には一体どんな力や意味があるのか。そして25条が蹂躙されている現状に対して、国民は政権交代を選択した。この政権交代のもとで25条は一体どうなるのかということについて講演をいただいた。
憲法漫談は、なぜ憲法9条が変えられようとしているのか、9条が変えられると私たちの暮らしはどう変わってしまうのかを、ジワリと面白さがこみ上げてくる独特の調子で好演。徐々に会場の笑いも大きくなっていき、最後には憲法前文の全文暗唱を披露、憲法9条を守り「世界のすみずみに憲法の花を」と締めくくった。
渡辺治氏の記念講演の概要は以下の通り。
憲法25条の生きる社会をめざして
25条は今軽んぜられ無視されている。しかし25条は、一旦は朝日訴訟の運動によって、力になった。さらに革新自治体の誕生が、国の政治を変え、25条を前進させる力になった。ところが企業社会の成立、利益誘導政治、臨調行革、構造改革によって大きく25条の力は後退させられた。国民は、もう一度それを運動の力で押し返し、25条実現のために民主党政権を誕生させた。しかし、アメリカと財界の圧力によって鳩山内閣は迷走を繰り返し崩壊。再び構造改革を進める使命を背負って菅政権が登場した。そういう中で25条を実現するために、何をするべきか。
私たちは、構造改革政治や利益誘導政治とは違う新しい福祉の政治の見取り図を、作る必要がある。京都協会の社会保障基本法立法化運動はその一つだ。財政破綻が喧伝されている中で、多くの国民は消費税を上げざるを得ないと思い始めている。そんな中で、消費税を上げずに、大企業から税金を取り、そして福祉を実現する。そういう社会と政治の仕組み、25条を実現するための具体的な政治の仕組みというものを私たちは考えていく必要がある。同時にそれを実現するための運動を私たちは作っていく必要がある。
今から40年前、私たちが経験した25条を実現する政治は、国からではなく地方からだった。その先頭に立ったのが京都の蜷川府政だった。地方から政治を変える、その努力が求められている。