共産党京都府委員会と懇談 今後の医療制度の在り方を議論
協会は6月4日、協会として追求している国政に京都出身議員を持つ政党との懇談の一環として、共産党京都府委員会との懇談会を開催した。懇談には、共産党より、成宮まり子副委員長・京都国政委員長、池田文穂自治体部長、光永敦彦京都府議会議員団幹事長、西脇いく子京都府議会議員、山中渡京都市会議員団団長、井上健二京都市会議員が出席、協会からは関理事長、垣田副理事長と政策部会から飯田・渡邉両理事が出席した。
懇談は、冒頭、協会側の関理事長、共産党側の成宮副委員長の挨拶に続き、飯田理事から「今後の医療制度の在り方について」と題して話題提供した。特に、後期高齢者医療制度後の次の医療制度や、京都市をはじめとした地方自治体の公衆衛生行政の拡充について、見解を問うた。
意見交換では、共産党の成宮副委員長が医療・社会保障政策を紹介。社会保障費削減路線を根本的に転換し、貧富の格差是正や、医療分野では国民の受療権保障が重要な課題とした。後期高齢者医療制度については、すぐに廃止し、老人保健制度に戻した上で、国の責任を強化することが必要とした。また、窓口負担は欧米では無料が当たり前であり、高額な国民健康保険料の引き下げと合わせ、負担軽減が必要との認識を示した。さらに、光永京都府議会議員は、同党が七条ハローワーク前で行った無保険者調査(5月26日)を報告し、アンケートに答えた来所者76人のうち12人(約16%)が「無保険者」だった。これを全国民に置き換えると膨大な数の人たちが無保険状態に置かれている可能性が高いと指摘した。
京都市の医療・公衆衛生施策に関しては、山中京都市会議員から、先の保健所機構改革について、新興感染症や高齢化、貧困の深まり等の問題が深刻化し、保健所は専門性を高め、機能強化すべきだが、逆に「退職不補充」で非医師のセンター長が増えている実態を批判。さらに、国民健康保険料滞納者への差し押さえも深刻だとし、そもそも保険料の高さが異常と指摘した。
続いて、池田自治体部長から、京都府の設置した「税行政の広域化」を進める「京都地方税機構」(広域連合)へ、府内18市町が国民健康保険料徴収も含め移管した下、有無を言わせぬ徴収が強まり、1人1人の住民の実態に寄り添うのでなく、「どのように取り立てるか」に、行政が特化していると報告。しかし他都市では資格証明書の交付をゼロにした自治体も生まれており、行政がどちらの道へ進むのか、まさに分かれ目と述べた。その上で、後期高齢者医療制度廃止後の医療制度を考える前提として、国民健康保険は本来国の責任による社会保障制度であり、「相互扶助」ではない。国の言う一元化・広域化は、国の責任を果たさないままの提案であり、矛盾を解決することはできない。かつて、共産党は老人保健制度創設に反対した。これは、それまでの老人医療費無料化制度を廃止、有料化し、国庫負担引き下げを行った点で当然であるが、財政調整の仕組みとしての老人保健制度は次の制度のベースになり得ると考えていると述べた。
また、西脇京都府議会議員は、地域では想像以上に貧困が進んでいる。その実態は富裕層が多いと言われている地域でも表れている。地域の民生委員がその実情をよく把握しているが、その実態をよくつかむ必要を感じているとし、高齢者の実態に迫る必要性を述べた。
井上京都市議会議員は、京都市政は市民生活をトータルに捉える視点がない。議会自身もそういう傾向にある。国保加入者の33・9%が被用者である実態からも、社会保障全体を見直す時期ではないか、と述べた。その他にも、参加者からはホームレス支援の経験等、広いテーマで発言があった。
最後は、渡邉理事から「変化への希望が見えるようにするのは、政治家のみなさんの仕事にかかっている」と締めくくりの挨拶をし、懇談を終えた。