新規開業予定者のための講習会開く

新規開業予定者のための講習会開く

 新規開業を考えておられる勤務医を対象に、協会は5月23日に新規開業予定者のための講習会をメルパルク京都で開催した。共催は有限会社アミス・日本光電関西株式会社・(株)日本総合コンサルティング。(1)「失敗しないための診療所経営〜患者さんに選ばれるクリニックを目指すには〜」(2)「先輩開業医からのアドバイス」の2題で講演を行った。最後に北村理事から、地区医師会入会の留意点、協会共済制度やその他の活用方法について説明し、会を終了した。

理念・戦略・戦術の一貫を患者が評価

 第1講目は、(株)日本総合コンサルティング・医業コンサルティング部長・黒木拓生氏より、クリニック経営を成功に導く2つの視点、マーケット・インとプロダクト・アウトについて解説した。

 マーケット・インとは患者さんの満足を徹底追求することであり、プロダクト・アウトとは院長の想いを現場に落とし込むことである。「患者満足度調査」で得た結果と院長の想いのズレを修正する中で、患者数が伸びた事例や、クリニックの価値を上げる無形の経営資源である自院の「知的資産」を適切に把握し、経営に生かして患者数が伸びた事例などを紹介した。

 これらの事例に共通して言えることは、「理念」「戦略」「戦術」が一貫している医療機関を患者さんが評価していた。

開業予定者のための講習
開業予定者のための講習

開業目的を銘じて 砺波博一医師

 第2講目は、となみクリニック院長・砺波博一氏から、開業に至るまでの経過を振り返り、これから開業を目指す勤務医の方にアドバイスを行った。

 医局を辞めてすぐ開業しようと思っていたが、開業まで10年かかった。開業場所は、当初は病院の近くを希望したが、諦めて現在の地に決めた。決定までは自転車で近隣を走ったり、散歩したり、地域の人にリサーチした。場所選定は一番重要なので、情報を集めて自分で足を運ぶことをすすめる。

 なるべく自分の力で開業しようと思ったが、業者が聞きつけて電話がかかってきたりした。そこで、お金のかからない程度で業者の力も借りた。

 借金のことは、業者任せにしてはいけない。建築会社も一部には、医者ということで割高な費用を持ちかけるところもある。競合させることも大事だと思う。

 自分の意にかなった職員は患者さんと同じくらいに大事である。経営が順調なところほどスタッフが大事だと言っている。

 自身のアルバイト先は、しばらく確保しておいた方がよい。バイト先で開業したつもりになって丁寧に診療したら、自院の患者さんも増えた。自身で身に付けたノウハウは生かされる。

 電子カルテは先輩の勧めで「ダイナミクス」を採用したが、コンピュータの知識がないと苦労する。

 最後に、夫人と開業から3年半を振り返ってみたら、増えたのは、体重と借金と白髪だけと苦笑い。自分の診療を貫けるのは楽しいが、経営者の仕事、医師会の仕事が多く、勤務医時代の方が自分の時間があった。

 開業するか勤務医を続けるかは価値観の違いだが、自分の中で「なぜ開業するのか、何を大事にしたいのか」はしっかり考えた方がよい。自身は地域のお役に立てる「究極のサービス業」にしようと考えたと締めくくった。

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