専門医会長との懇談会を開催
各科とも診療所には冷たい改定
京都府保険医協会は専門医会長との懇談会を5月8日、京都市内のホテルで開催し、専門医会から13人、協会から10人が出席した。懇談会では、関理事長挨拶の後、(1)社会保険研究会、診療内容向上会の開催について、(2)2010年度診療報酬改定対策及び改定の特徴について担当理事が説明。各医会からは、改定内容や地域医療貢献加算・明細書発行義務化などの問題、医療機関への影響などについて意見・要望が出された。
各科の意見を伺った専門医会長との懇談
各専門医会からは以下のような改定内容と問題点が報告された。また、再診料の地域医療貢献加算について「24時間は当たり前と言われると、医師としてのプライドが傷つく」との意見や、「大病院の補助金をカットした部分を診療報酬で補填したことで、開業医はマイナス改定になってしまった」「手術点数が上がったため病院はよいと思われるが、開業医には影響がなかった」「民主党に期待していたが落胆している」などの厳しい意見も出された。
(透析)人工腎臓は区分変更され、病状は安定しているが退院・通院できない入院患者について包括点数となった。外来の方は若干の引き下げがあった。
(糖尿病)新設の皮下連続式グルコース測定は、測定器が高く、連続3日間測定しようと思うと、実際には大病院しか届出できない。
(整形外科)リハビリテーションの日数制限など様々な制限があり問題は多いが、改善されず逆にどんどん制限されている。
(消化器)大腸、結腸の内視鏡的ポリープ切除術が、「長径2cm未満」「長径2cm以上」に変更、癌であっても2cm未満は低い点数で一括されてしまった。
(麻酔科)麻酔科標榜医の指導のもとに麻酔科標榜医以外の医師が行った場合に、今回麻酔管理料2が新設され算定できるようになったことは評価している。
(泌尿器科)残尿測定検査も結局、外来管理加算が取れないので点数は上がらない。特定疾患療養管理料では対象疾患の泌尿器科疾患への拡大もなかった。
(皮膚科)在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料と内服・点滴誘発試験が新設されたが、対象疾患や設備を考えると、診療所にはあまり影響しない点数である。
(耳鼻咽喉科)標準純音聴力検査等が引き下げられた。古くからある検査点数を元の点数に戻したとのことだが、合理的ではない。
(眼科)眼科の基本的検査である屈折検査、矯正視力検査等が引き下げられた。眼科は打撃が大きい。
(産婦人科)手術点数が上がったが、改定結果は調査を待って判定する必要があると思う。妊婦健診について、全国どこでも同じ補助がでるようにしてほしい。
(小児科)新生児特定集中治療室管理料の2が新設され、担当医が外来診療できるようになったことは良かった。診療所は再診料の引き下げが痛い。
(胸部)抗酸菌の分離培養、同定、薬剤感受性の検査が引き上がった点は良かったが、引き上げや新設された点数はほとんどが病院に関係する点数である。
(内科)外来管理加算の5分ルールは廃止になったが、俗に言う「お薬受診」も国民には必要な部分もある。政府が国民に広報を行わないと、医療機関に責任が押しつけられて、責任を隠ぺいすることにもなる。
意見・要望を改善運動に
協会から、今回の診療報酬改定は、医療水準を引き上げるという民主党の公約のもとで行われたが、結果的にはプラス100億円0・03%にも充たないものとなった。病院勤務医への負担軽減として病院へ財源シフトしたが、地域医療を支える中小病院への恩恵はほとんどなかった。診療所では、病院の再診料との統一により再診料が引き下げられるとともに、眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科では汎用点数の引き下げが行われ、二重の打撃となっている。さらに、窓口の混乱や個人情報漏えいなどの問題を抱える電子請求医療機関への明細書発行義務化、患者と医師の信頼関係を損なうような地域医療貢献加算などの不合理点数の撤回や、運用上の改善を要望していきたいと強調。各専門医会からいただいた意見・要望は、今後の改善運動に活かしたいと伝え、懇談会を終了した。