医療安全対策の常識と工夫(17)
「示談屋」「事故屋」の手口
患者さんから内々に報酬を貰って、医療機関側にクレームをつける人々は、俗に「示談屋」「事故屋」などと呼ばれています。彼らの行為は明らかに弁護士法違反ですので、毅然とした態度を取ることが必要です。彼らは患者さんを焚き付け、トラブルを大きくすることはあっても、スムーズな解決に貢献することはまずありません。
しかしながら、「示談屋」は当然、自分のことを「私は示談屋で○○さんに代わって先生と交渉する」と、自己紹介することはありませんし、患者さんから報酬を受け取る、あるいは受け取っていることも明かしません。実際は何度か応対しないと、その正体は分からないものです。「示談屋」は、最初は知的で紳士的にさえ見えることもありますが、結局のところ「お金」が目当てです。患者さんにとってさえ、煩わしい存在になることもあるのです。
京都府保険医協会の経験からでは、「示談屋」は自分が怪しい者でないことを強調するために、「△△リサーチ」とか「××研究所」などと書かれた名刺を渡すことが多いようです。役職は専務、常務取締役などと記載されていることもあります。それに加えて、患者さんが以前世話になったことがある人、と紹介したときには、その対応は慎重にした方がよいでしょう。
万一、そういった人々に頭を悩まされ、どのように対応して良いか分からなくなった場合は、ためらうことなく協会にお電話下さい。個々に応じた助言をさせていただきます。
次回は、患者家族への対応についてお話しします。