医療安全対策の常識と工夫(16)
「私は患者の知り合いの者だが…」という人々に要注意!
医療機関にいきなり「証拠保全申立書」や「訴状」が届くと、驚いてしまうことも多いと思いますが、ここでお話しすることは場合によってはもっと厄介です。
「あんたが○○先生か、実はあんたのところで診てもろうとる△△さんのことやけどな」といった調子で、見たこともない人物が連絡を取ってくることがあります。通常は患者さん自身と連れ添って来ることが多く、患者さんの友人・知人と紹介されているケースがほとんどのようです。
そのような場合、医療機関はその人物と直接、話し合いをする義務は基本的にありませんので、その旨を伝え、まずは丁重にお断りいただきたいと思います。しかしながら、実際にはなかなか門前払いできないのが現状です。そこで、やむを得ず対応しなければならない場合には、これは1つの提案に過ぎませんが、その人物が明らかに弁護士でないと分かっていても、ことがお金の話になった場合には、「失礼ながら貴方は弁護士資格をお持ちですか?」と、丁寧な口調でお聞きになった方がよいと思います。仮にその時点で明らかな医療過誤が認められていたとしても、患者さんの友人・知人には賠償請求をすることは法的にできないからです。それができるのは患者さん本人か、弁護士に限るとお考えになって差し支えないでしょう。
次回は、示談屋の手口についてご紹介します。