主張/核兵器廃絶の実現を!それこそが我々のINORI
最近、テレビで「INORIプロジェクト」という運動の番組を見た。広島平和公園にある、折り鶴を頭上に高く掲げる「原爆の子の像」のモデルとなった佐々木禎子さんの甥にあたるミュージシャンが、「INORI」という曲を作曲した。2歳で被爆し、白血病を発症して、家に帰れる日を心から願いながら、病床で一人懸命に千羽鶴を折り続けた禎子さん。ことを風化させたくない、平和を願う気持ちを折り鶴に託して歌いたいと「INORI」を作曲した。この曲をきっかけに、一人でも多くの人々が千羽鶴にその思いを込め、今年の8月6日に広島に届けたいという運動を広げているのが「INORIプロジェクト」だ。一人ひとりの思い、願いが運動となっている。
去年の11月25日に広島の秋葉市長が京都で講演された。都市という武力を持たない、そして国を超え協力関係になれる都市から、国ができない核兵器廃絶を実現させようと訴えた。また、広島の被爆者の「他の誰にも同じ経験をさせてはいけない」というメッセージを学術的に整理・体系化し、普遍性のある学問として若い世代に伝えていく必要がある、とも訴えられた。広島・長崎について問われたとき、被爆国である日本として責任をもってそれに答え、核兵器の廃絶を訴えていかなければならない。
今年の9月18日には、奈良で「第21回核戦争に反対し、核兵器の廃絶を求める医師・医学者のつどい」が開催され、これに向けて準備が進められている。
5月には、NPT(核兵器不拡散条約)再検討会議がニューヨークの国連本部で開催される。これまで核兵器廃絶の方向性がでてきていたが、2005年のNPT再検討会議ではブッシュ前米大統領の対テロ先制核使用論のため決裂してしまった。
今年はオバマ米大統領のプラハ演説などからも、核兵器廃絶への議論が加速されるのではないかと期待される。また、平和市長会議が目指している2020年までに全ての核兵器廃絶に向けても、今年のNPT再検討会議は注目してみていかなければならない。