読者のひっち俳句/隆英 選
入選
紅侘助一輪にして足りにけり
絢子
佳作
根気良く石組む庭師春の土
絢子
陛下より賜ふお悔み春浅し
絢子
大寒の海に雪溶け夕焼くる
善郎
寒の町五粍の雪の消えぬまま
善郎
嬰(やや)産まれ桃の節句の祝ひ来る
青磁
春浅しくづれ土蔵の御紋章
珠子
幼な児の歩き初めたり春浅き
珠子
春浅し白鷺一羽佇める
珠子
沈丁花確定申告終へにけり
素
五輪選手の顔かがやけり梅かをる
素
しだれ梅の満開の中縫ひて行く
素
(順不同、仮名づかい新旧自由)
短 評
絢子さん、侘助は何といっても一輪に限ります。通常白をよく見ますが、赤もまた白と違った寂びの風趣があるでしょう。二句目、黙々と働く庭師の感じが出ています。第三句、「叔父逝く」とあります。学士院賞でも戴かれたのでしょうか。
善郎さんの「大寒」大景が見えるようです。
青磁さん、原句の上五は「女児産まれ」でしたが、桃の節句(ひなまつり)で女児は分り重複するので、嬰(やや)(稚やや)としました。
珠子さんの第一句は「下御霊神社」の註があります。これは中京区寺町、「上御霊神社」は上京区御霊賢町、正しくは「御霊神社」の由、ともに早良(さわら)親王(崇道すどう天皇)ら八霊が祭神、皇室の産土神とあるので御紋章も菊なのでしょう。
素さんの「沈丁花」申告を終えてほっとした感じが出ています。
選者吟
青い地球黄沙まみれとなりにけり 隆英
<応募要領>◇ハガキに5句以内、未発表のもの。応募作品は返却致しません◇住所、氏名、電話番号明記。ただし作品はペンネームで結構です◇送り先:協会保険医新聞担当◇毎月15日締切。毎月第1週号に発表します◇入選者には記念品贈呈◇作品の発表にあたり選者が添削する場合があります。あらかじめご了承下さい。