各地区との懇談すすむ

各地区との懇談すすむ

 協会は、2009年度の地区医師会との懇談を進めている。本年度のテーマは「これからの医療制度について」。本号では4地区との懇談のもようを掲載する。

下京西部医師会と懇談 2月4日 京都府医師会館

患者に説明できる点数の設定望む

14人が出席して開かれた下京西部医師会との懇談会
14人が出席して開かれた下京西部医師会との懇談会

 協会は2月4日、下京西部医師会との懇談会を開催した。出席は地区から8人、協会から6人。下京西部医師会・山下琢副会長の司会で進められた。

 大森浩二会長から、昨年民主党が政権を取り、社会情勢なども随分変化していくのかと期待したが、現在のところはあまり大きく変化していないのが実情だ。本日は、医療情勢についてもいろいろ教えてほしいと挨拶があった。

 意見交換では、地区より外来管理加算について、以前、協会の開催する委員会で、外科系の医師から、汎用の処置点数と外来管理加算の点数を同一にしてほしいとの意見が出ていた。今回の診療報酬改定で、電子請求医療機関への内容の分かる明細書の発行義務化が提案されているが、もし明細書の発行が必須ということになれば、診療の内容で日によって処置料と外来管理加算をそれぞれ算定する場合が出てくることを考えると、患者にも説明しにくいので非常に困る。患者も医療機関も納得できるような点数設定が望ましいのではないかと意見が出された。また、診療報酬改定や制度改定の度に、請求事務等が非常に複雑かつ煩雑になる。介護保険においては、役所に提出する書類や厚労省などからのアンケート協力など、現場での仕事よりも事務作業をこなすほうが、大変な状況である。請求事務に関する作業量を軽減するように要望してほしいとの意見も出された。

 協会からは、新政権に対し、不合理な点数設定については是正するように働きかけることが必要だ。しかし、基本的には処置料や手術料の点数をもっと引き上げるように要望するのが、あるべき姿だと考える。また、今後の問題として、現在200床以上の病院では、再診料や外来管理加算に代わって外来診療料を算定しており、この点数には簡単な処置などの点数が包括されている。今回の改定では、こういった包括化の議論が全く行われていないので、非常に不気味だ。国はいずれ、初・再診料をある程度引き上げて、その分簡単な処置料や検査料などをますます包括しようと考えているのではないかと危惧する。事務量の簡素化の手段の一つとして、点数の包括化という意見もあるが、医療側としてもこの問題については、しっかり考えていかなければならない、と述べた。

 さらに、地区から税制に関して、租税特別措置法26条については、今後も継続されるように協会としても引き続き運動を展開してほしいとの要望が出された。

 協会からは、租税特別措置法26条については、簡易課税という部分は、今後も継続するように要望していく。しかし、こういった課税方法が医療機関だけに認められるのではなく、他業種の零細企業にも順次適応されるように要望していきたいと答えた。その他に、協会から医事紛争について、昨年度の医療訴訟は減少傾向に転じ、国民も医師の奮闘に一定の理解を示してきており、医療不信はやや緩和されてきている状況を報告した。また、社会保障に関する財源問題や新医師会館問題についても意見交換を行った。

東山医師会と懇談 2月5日 東山医師会事務所

診療報酬改定を中心に意見交換

10人が出席して開かれた東山医師会との懇談会
10人が出席して開かれた東山医師会との懇談会

 協会は2月5日、東山医師会との懇談会を東山医師会事務所にて開催。地区から6人、協会から4人が出席し、東山医師会・岩崎淳庶務担当理事の司会で進められた。

 名和正訓会長は、「4月に診療報酬の改定もあり、その動向と協会のこれからの運動方針をお聞かせいただき存分な意見交換を行いたい」と挨拶。関理事長の挨拶、協会から情報提供を行い、意見交換を行った。

 診療報酬改定について地区から、今回の改定率についてはプラス改定と喧伝されているが、ほぼゼロ改定となった。民主党は日本の医療水準引き上げと地方分権を重視しているが、医療は地域によって差がついてはならないし、混合診療や民間保険に流れるようなことは避けなければならない。また、薬剤費引き下げのためにジェネリックを推奨しながら、今やその薬価を引き下げ過ぎてメーカーが作ることが困難ときくが、このような国の姿勢は疑問。医療材料費についても、貿易問題に絡んで高額な海外の材料を買わされることで、医療費全体を高騰させる原因になっていないか。さらに、再診料を巡って中医協で議論があったが、本来どのくらいが妥当なのかという根拠を持って理論武装していくべき、との意見があった。

 これらについて、協会からは、0・19%とされている改定率については長期収載品の引き下げ分600億円が含まれていないため、実際は0・03%にも満たないものだ。薬価については、原価が反映されない現在の仕組みがおかしい。材料費の問題についても、医療担当者や国民にしわ寄せがきているのは問題だ。また、安達先生が中医協に出られてから、これまで中央で検討の俎上に上らなかった開業医レベルの新しいデータを集中的に提供し、検討をお願いしており、これからも努力していきたい、と述べた。

 今後の医療制度について地区から、後期高齢者医療制度についてはいろいろ問題もあったが、評価できる面もあったのではないか、民主党のデザインが未だ見えてこないが、どうなのかと質問があった。

 これに対し協会は、後期高齢者医療制度を直ちに廃止しないとしたのは、広域連合を母体に、国保を都道府県単位に広げていくのではないか。ここに京都府が提言している国保一元化が符号してくる。国が高齢者医療の全般をみるのか、それとも地方に分権して地方がみるのかが、最終的な論点。地方がみるということは、地域間格差が出るということ。これまで堅持してきたように国が全部みるべき、と答えた。

 その他、医療費財源としての消費税問題や、柔整師の問題について意見交換した。

綾部・福知山医師会と懇談 2月6日 福知山市中央保健福祉センター

国保の広域化問題などで意見交換

19人が出席して開かれた綾部・福知山医師会との懇談会
19人が出席して開かれた綾部・福知山医師会との懇談会

 協会は2月6日、綾部・福知山医師会との懇談会を開催。地区から13人、協会から6人が出席し、福知山医師会・井土昇理事の司会で進められた。

 福知山医師会・高尾嘉興会長は、「医療情勢も刻々と変わってきている。本日は色々な問題を意見交換し、有意義な会議にしたい」と挨拶。関理事長の挨拶の後、協会からの情報提供を受け、医療制度の財源問題を中心に意見交換した。

 まず地区からは、綾部の国保保険料について、現在は保険料収納率も高く、医療機関へのアクセスも問題なく十分な治療が行われつつも、保険料は府内でもっとも低く抑えられているが、今後は後期高齢者医療の補助金の拠出により、保険料を上げざるを得ない状況となることが報告された。また、他地域での赤字を埋めるため、保険料を押し並べて府単位に徴収するという考え方は仕方ないと思うが、それが近畿圏で、そして次は全国へと段階が踏まれかねないので、そのあたりを見据えて運動してほしいとの要望が出された。

 これに対し協会は、京都府内における実質的な赤字の国保保険者は77%にのぼるが、取り組みのある地域とない地域とで差がある中、単に保険料を府内で押し並べるだけの議論で良いかは疑問。国の国保への補助金が年々減る中で、民主党が「コンクリートから人へ」と言った限り、その考えを反映してほしいと述べた。

 さらに、医療費財源の捻出をどこに求めるべきかとの質問には、第二弾の事業仕分けでの無駄のそぎ落としに期待するが、高福祉高負担、低福祉低負担のどちらを望むかは国民が選択すべき。それによって、消費税論議も起こってくるだろうが、国内の富の再分配により格差をなくすため所得税の累進課税の見直しをするなど、他の税収方法は考えられるはず。社会保障の充実により経済成長ができることを強く訴え、雇用を確保し、成長戦略をたて、日本経済が委縮しないようにしなければならないと回答した。

 また、若い世代は日本の医療はどうなるのか、どの方向に進むべきか、例えば診療報酬の包括払いや出来高払いの考え方や変遷など、これからの医療制度について活発な議論を求めているとの意見が出された。協会からは、議論の論点は、(1)消費税、(2)包括制、(3)混合診療の3つであると指摘し、積極的にこれらの議論や運動に関わってほしいと述べた。その他、新医師会館への入居問題についても意見交換が行われた。

 最後に、綾部医師会・安村忠樹会長より閉会挨拶があり、その後、会場を移し懇親を深めた。

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