医界寸評
右肩上がりというと、何か良いイメージを連想する。統計資料の中で、右肩上がりのものに注目してみた
▼まずは、「生まれ変わるとしたら男女どちら」という調査結果である。男性は一貫して9割以上は同じ男に生まれたいと回答したのに対し、女性はかつて6割以上が男に生まれたいとしていたが、今では7割以上が女に生まれたいとしたそうである。出産しない女性が増えたことも影響しているのか
▼次に平均寿命である。1950年代には主要先進国中、最低だった日本の平均寿命が、1970年代には総て抜き去り、世界一に躍り出ている。医療の進歩で今後さらに8歳ぐらい寿命が伸びる予測がされており、まだまだ高齢化は進みそうである
▼次に社会保障給付費である。医療と福祉の増加に比べて最近は年金の増加の割合が際立って増加しており、人口の高齢化とともに今後さらに右肩上がりの増加が予想されている
▼最後に政府債務残高である。いわゆる国の借金であり、今や国民1人あたり750万円相当というから驚きである。1995年以来これも欧米諸国より群を抜いて右肩上がりに増え続けており、心配である
▼今の日本には、世界に誇れる右肩上がりの出来事があまり見あたらない。景気対策も大切だろうが、根源は人口の少子化と高齢化にあるのではないか。元気ある子どもを右肩上がりで増やさないと、日本に未来はないように思う。(夢)