環境ハイキングに参加して

環境ハイキングに参加して

保津峡の景観を満喫 栄枯盛衰の無情も

愛宕一の鳥居にて
愛宕一の鳥居にて

 第18回環境ハイキングは、昨年雨で中止になったコースを巡ることになりました。11月29日午前9時にJR保津峡駅に集合。まずは駅から見える保津峡の景観のすばらしさを満喫し、総勢40人で清滝を目指し出発しました。

 前日までの天気予報では高い降水確率で雨でしたが、曇り空ながら持ちこたえ絶好のハイキング日和でした。歩き始めてすぐのトンネル(鵜飼隧道)には「平安乾域」の扁額が掲げられ、彼の地が都からみて乾(北西)にあたることを示していました。赤い紅葉(もみじ)のトンネルが所々出現するコースは、まずは保津川に沿って川下りの船やトロッコ(嵯峨野観光鉄道)を眺め、保津川(保津峡)の川面の深い青色が、周りの木々の黄色、茶色、赤色、紅色などのモザイク模様と相まった美しさを堪能。落合橋からは、清滝川に沿った山道で、川面が白く浅瀬が多いことや、大きく育った川魚を見つけて水のきれいなことも実感。川のせせらぎの瀬音を聞きながら、渡猿橋に到着、そこでは無残な旅館の廃屋姿を目撃。民家の間を進み、愛宕神社参道に到着、愛宕山へのケーブルカー(索道)の駅舎跡の碑もあり、戦前の栄耀栄華の証に心が痛みました。戦争による“供出”にて線路が外され、そのため訪れる人も減少した結果、旅館も廃業したのでしょうか? 古(いにしえ)には松尾芭蕉翁も訪れたことを証する句碑もあり、栄枯盛衰の移り変わりも目の当たりにできました。保津峡は水運のため、角倉了以によって開削され、その名残としての川下りがあり、JRも複線化に伴い旧線はトロッコ路線として復活、保津峡の「観光資源」となっています。落合橋からは“米買い道”が水尾地区まで山道として通じていました。先人たちの苦労が偲ばれます。

 保津峡近辺には「しりぶかがし」(尻深樫:どんぐりで帽子が真深いのでその名があり、実を磨けばつやが出る特性を持つ)が群生し、国内2番目の面積で植生、日本での東限・北限で絶滅危惧種に指定されていることや、かぎかづら(蔓に鉤があり、その鉤で蔓や枝に絡み、生育する)などの珍しい植物も観察できました。

 清滝駐車場からは、幽玄な川の側道から現実世界に引き戻され、長い清滝トンネルを越えたら観光客が多い地域(嵯峨鳥居本)に入り、五百羅漢の愛宕(おたぎ)念仏寺、一の鳥居(アユ料理「平野屋」)、化野(あだしの)念仏寺、を経て護法堂弁財を巡り、鳥居本八幡宮にて昼食。その後大覚寺を散策、広沢の池から「きぬかけの路」(福王子から仁和寺・龍安寺を経て金閣寺に至る道)を歩き、門徳池から文徳天皇田邑稜で解散。今回はほぼ予定の時間に解散できました。(歯科・北区 森 忠昭)

 ※春の環境ハイキングは4月25日(日)に洛中・洛北を歩きます。

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