京都市が保健所の改革案 11保健所を1保健所・11支所に
地区医師会の賛同付し意見書提出 施策拡充に向け合意形成求める
京都市は、市会2月定例会に「京都市保健所条例の一部を改正する条例の制定について」提案。2月10日に、京都市会各会派へ発送した議案で明らかとなったその内容は、新たに本庁に「京都市保健所」を設置すると同時に、現在京都市内11カ所(各行政区)に設置する保健所を地域保健法上の支所にし、その名称を「保健センター」とするもの。
既に旧保健所法が1994年に「地域保健法」に改められ、保健所の設置要件の緩和(人口10万人に1カ所から36万人に1カ所)や、対人サービスの市町村事業化が進められており、京都府内でも04年に12カ所の保健所が7カ所1支所に統廃合された経過がある。今回の京都市提案も、基本的にはその流れの上にある「機構改革」であると考えられる。また、京都市は地方分権一括法・三位一体改革といった構造改革路線で財政がひっ迫、今提案へ至らしめたものと言える。
協会は、京都府の医療提供体制に関する提言作成を進める中、京都市が医療提供体制や公衆衛生施策についてのグランドビジョンがないことを指摘し、京都市当局との懇談(1月20日)にも取り組んできた。
この度の保健所をめぐる機構改革については、京都市が財政問題から拙速に廃止・広域化を進める背景があることは明らかであり、こうした提案を行うのであれば、前提に市民・都市を守るためのビジョンがあるべきであり、まずは医療者をはじめとした関係者、市民との充分な協議を行うべきだとの立場で、協会は取り組みを進めている。
その一環として2月11日には、京都市の保健所職員等と合同で企画した「保健所と京都市の公衆衛生行政を考える勉強会」を開催し、野村拓氏(国民医療研究所顧問)を講師に学習を行った(2面に掲載)。
2月25日には、京都市への意見書(2面に掲載)を地区医師会長の賛同を得て、保健福祉局保健衛生推進室保健医療課に提出した。意見書では、主に以下の3点を求めた。(1)医療、福祉関係者、市民との合意形成なしに進めてはならない(2)公衆衛生施策「拡充」「強化」の方向での検討を求める(3)専門職配置の必要性と地域の医療者との連携が重要である。この日は、市会各会派にも要請を行った。
なお、25日現在、賛同をいただいたのは京都北・西陣・下京東部・山科の4医師会。賛同は引き続き求め、数次にわたって提出する。
京都市の担当課に意見書提出
民主・都みらいの(左から)天方・鈴木議員に要請