医療提供体制で京都市に質問し懇談 市のビジョン作成と協議の場を
京都市担当者と懇談する協会理事者と地区からの出席者
協会は昨年12月11日、「京都市の医療提供体制に関する質問事項と懇談のお願い」を市当局に提出し、1月20日に懇談を行った。懇談には、京都市から、小谷康之氏(生活福祉部保険年金課特定健診企画係長)、藤田庄氏(保健衛生推進室保健医療課健康増進係長)、後藤凡氏(保健衛生推進室医務審査課医務審査係長)、大西則嘉氏(京都市立病院事務局管理課担当係長)、菅野周二氏(保健福祉部保健福祉総務課企画調査担当)、地区医師会から、児嶋久剛氏(左京)、垣田敬治氏(西陣)、斉藤行生氏(下京東部)、安岡貴志氏(下京西部)が出席。協会からは、関理事長、垣田副理事長、渡邉理事と事務局が出席した。
懇談は、垣田副理事長の司会・進行で進められた。冒頭、関理事長から「地方分権改革」が言われているが、自治体には財政力の格差がある。医療・福祉に格差が生まれてはならない。この町に住んで良かったと思える、京都市であってほしいと挨拶した。
今回の懇談は、協会が「京都府提案への反論と地域医療提供体制への提言」を作成する経過において、08年に府が策定した「京都府保健医療計画」の審議過程で重要な位置を占める医療圏ごとの「地域保健医療協議会」に京都市が参加しておらず、府がとりまとめた「地域における主な課題と対策」なる報告書にも京都市の現状と課題、対策方向が一切登場しないことに注目し、あらためて京都市として、市内の医療提供体制の在り方についてどのように考えているのか、を聞かせてもらうことを目的に開催した。
質問は6項目に及ぶが、大きく分けて(1)「市当局は市内の医療提供体制の現状と課題をどのように考え、どのようなビジョンを持っているか」(2)「特定健康診査・特定保健指導も含め、市として市民の健康づくりや公衆衛生行政についてどのようなビジョンを持っているか」を問う内容。
席上、市は地域保健医療協議会に参加しなかった理由について、地域保健医療協議会へは、全市町村が参加せねばならないわけではなく、府へは意見陳述や他の審議会等へ部長級が参加する等、その策定に関与していない訳ではない、と述べた。これに対し、協会からは、医療圏単位の地域保健医療協議会の論議は京都府保健医療計画の重要なベースの一つ。地区医師会の医師が参加し、医師の立場から、現状と課題の分析へ参画していることの意味も大きいと指摘し、医療者と京都市、そして市民も含め、市の医療提供体制の在り方と今後を話し合う場の設定が必要だと要望した。
また、健康づくり施策等に関しては、京都市から市国保特定健康診査、後期高齢者医療加入者の健康診査、40歳以上の生活保護世帯の方の健診、がん等の各種検診の実施状況や、京都市民健康づくりプランの内容と実施状況の説明があった。
これに対し、地区の出席者から、京都市内の施策は保健所と地区医師会が綿密に連絡を取り合い進めてきた。しかし、介護保険制度や特定健康診査実施で、明らかに保健所のネットワークの軸を担う機能が後退した。保健所の果たす機能は重要であり、今のままでは、京都市と市内の医師とのつながりが守れない。市と地区医師会が協議し、データを積み重ね、検討する場が必要だ。その点では、今回の懇談の場は重要だとの発言があった。
他にも、市立病院の独立行政法人化や救急医療等のデータ整備問題、市としての政策立案の在り方についての意見交換も行った。
最後に、京都市からは、こうした会を続けていくことの意義はよくわかっている。今後とも、こうした場の設定にも対応する。また、基本健康診査が保健所の有効な手段としてはなくなってしまったが、健康増進・健康づくりのための取り組みは保健所がベースになると思う。そうした取り組みも今後連携して取り組みたい、との認識も示された。