医療事務担当者向け講習会を開催
レセプト 保険者点検の現状明らかに
定員を大きく上回った医療事務講習会
保険医協会では、会内の医事担当者連絡会議が中心となって「医療事務担当者向け講習会」を企画し、11月26日に開催、82人が出席した。会場の規模などから、事前申込制による50人を定員と設定していたが、予想を大きく上回る反響があり、申し込み受付開始からわずか2日で定員を超えたため、可能な限り定員を拡大したが、4日で再度定員に達した。講習会では「あきらめていませんか?その減点―保険者によるレセプト点検の現状と対策」と題して、実際に保険者でのレセプト点検業務に携わる方を講師として招き、解説いただいた。
多い保険者再審
鈴木副理事長の挨拶に引き続き、協会事務局より、講演に先立って保険者再審の概要を報告。保険者再審は、医療機関再審に比べて件数が多い。保険者再審は、基金で一月約6500件、国保で一月約1万3000件出されている。保険者再審が行われた結果、基金で約4割、国保で約6割が減点対象となっている。保険者再審の対象にならないようなレセプト作成が求められている、と解説した。
豊富な事例で解説
講演は、実際に減点処理された「再審査等請求内訳票」(保険者が再審査請求時に使用)やレセプトの事例30例を資料に、保険者がどのような視点で点検しているのかが解説された。
事例の中身は、(1)同一病名での複数科初診、(2)病名転帰のない状態での小児科外来診療料(初診時)、(3)処置又は手術実施日の外来管理加算、(4)対象病名のない特定疾患療養管理料と特定疾患処方管理加算、(5)初診から一月以内の特定疾患療養管理料、(6)適応病名がない投薬、(7)低薬価であっても減点対象となった投薬、(8)投与期間制限を超える投薬、(9)併用が規定されている薬剤の単独投与、(10)投与期間がオーバーしている投薬、(11)対象薬剤投与のない長期投薬加算、(12)実際は多剤投与であった処方せん料、(13)投与量が多いと考えられる投薬、(14)禁忌に該当する投薬、(15)体重に対して使用量超過と考えられる注射薬、(16)適応病名がない注射薬の使用、(17)入力誤りと思われる注射薬使用量、(18)適応と思われない皮膚欠損用創傷被覆材、(19)病名から適応と思われない検査、(20)疑い病名での腫瘍マーカー検査隔月実施、21疑い病名での甲状腺機能検査連月実施、22検体検査判断料の月をまたがった重複算定、など多岐に渡った。
提出前点検は重要
最近では保険者での画面点検も増え、医科レセプトと調剤レセプトとの突合や縦覧点検、重点点検(医療機関、患者をピックアップ)、はしご点検(同一医療機関での他科レセプト突合)が容易に行われるようになっているが、保険者が、何か特別な方法を用いているというわけではない。上から順番に点検していくという点では、医療機関の提出前点検と同じである。薬剤の効能・効果や禁忌、投与日数、通知による制限、検査等に必要な病名があるかなどを、事務的に点検していくことから始まる。例えば、エルカトニンの効能・効果には「骨粗鬆症による疼痛」と記載されており、レセプト上「疼痛」があることが分からなければ、減点のターゲットになり得るなど、薬剤の効能・効果は、単に病名が記載されたものばかりでなく「〜による○○」というような記載のものが増えているので注意が必要である、と説明された。
日頃不透明な保険者点検の実態と、保険者再審のターゲットになりやすい点が解説されるとともに、保険者で点検されるような内容の提出前点検の重要性が指摘された講演であった。保険医協会と医事担当者連絡会議では、医療事務担当者のニーズに沿った企画を今後も検討していく予定である。