医界寸評
京大演習林がある芦生で鹿の食害により下草がなくなり、そこで生活している昆虫類が激減、一部の昆虫が絶滅の危機に瀕している。鹿が増加し、高い所までエサを求めて高山植物を食べ、その結果、世界の雷鳥の中で南限に生息する富山の天然記念物雷鳥の数が半減、絶滅の危機を迎えている
▼これら生態系の変化はより多くの物、より快適な生活とエネルギーを濫費し、温暖化したためと思われる。生態系の均衡維持が緊急の課題であることは12月7日COP15が開幕したことからもわかる。手塚治虫の「火の鳥」では、西暦3404年、人間だけでなく生物がほとんど住めなくなった地球を描いているが、そんな先の話ではないように思える。冬虫夏草の観察採集をしているが、オニヤンマから発生するヤンマタケがほとんど見られなくなった。オニヤンマも絶滅種になりかけている
▼このような変化をもたらしたのは、デカルト以来、精神と物質を別けたことにより自然科学が発達、その応用として産業が発達し物が満ちあふれるようになってからだが、量子力学の誕生により精神と物質の統一がまた必要となってきた。その徒花がスピリチュアリズムかも知れない。意識が存在を規定するのではなく存在が意識を規定すると考えて、資本主義を攻撃した思想にも三分の理があるように思える。急激な生態系の破壊を阻止する思想を模索したい。(康)