本の紹介/『憲法9条と25条・その力と可能性』二つの憲法に命を吹き込み、実現を

本の紹介/『憲法9条と25条・その力と可能性』二つの憲法に命を吹き込み、実現を

『憲法9条と25条・その力と可能性』
『憲法9条と25条・その力と可能性』渡辺治著、かもがわ出版、1,700円+税

 9月27日に東京で開催された「貧困をなくし、社会保障を守る『基本法』を考えるシンポジウムに参加しました。2部構成になっていて、第1部では、パネラーの方々はそれぞれの立場で、現在の社会保障の抱えている問題点や不十分な点を講演され、第2部では現在の貧困の現状や貧困に対しての緊急の対策、日本の貧困がなぜこんなに悲惨な状態になってしまったのか。新しい福祉国家に向けて何が必要なのかを講演され、対談されました。現在の貧困をなくし、社会保障を充実させるのには憲法25条を生き返らせ、命を吹き込むことが必要で、そのためには憲法25条に力を持たせる意味でも「社会保障基本法の立法化」などの取り組みが必要です。

 このシンポジウムで講演され、対談された方が、今回紹介する『憲法9条と25条・その力と可能性』の著者である一橋大学社会学部教授の渡辺治氏でした。

 憲法9条や25条がどのように生まれて、どのような歴史を経て現在に至ったのか、またこれまで行われてきた自民党の「構造改革」の名のもとで憲法9条の改憲を行おうとされてきたり、また25条はその目指すものを無視し、ないがしろにされてきた経過。それに対して国民がどう運動し守ってきたかの歴史がわかりやすく書かれています。また、憲法9条と25条の違い、憲法9条は国に「してはいけない」ことを規定しているのに対して、25条は国に「しなさい」としている、この密接に関係している二つの憲法は全く性質が異なり、それぞれの憲法を守る運動に違いがあり難しさがある点なども書かれています。

 憲法9条、25条は待っていてもなにもしてくれません。私たちが積極的に働きかけ、二つの憲法に命を吹き込み、育て、力を持たせていくことが大切であり、その実現のためにこの本を生かして欲しいと著者は私たちに伝えようとしているのだと思います。

 是非この本を読んでいただきたいと思い、紹介させていただきました。

(政策部会・渡邉賢治)

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