主張/医療安全対策50周年記念出版 『医事紛争事例集』の活用を

主張/医療安全対策50周年記念出版 『医事紛争事例集』の活用を

 機会あるごとに紹介しているが、京都府保険医協会の医療安全対策は、2009年度で50周年を迎えた。そこで、会員各位には、その記念出版として『医事紛争事例集―医師が選んだ50事例』を既にお送りしているが、お手に取られたであろうか。

 この事例集は、医療安全対策部会の担当理事が、医師として是非知っていただきたいものばかりを、ほぼ全科にわたり選定した。紹介している事例は全て、実際に会員から相談のあったリアリティーあるもので、臨床医としての日常診療に大いに役立てていただきたい。なお、他府県の協会からも、頻繁に注文が来ている。

 先述したとおり、協会は医療安全に関して、全国的に見ても長い歴史を有しているが、その活動の甲斐もあって、2年ほど前から会員医療機関の紛争報告に、明らかな減少傾向が見られるようになってきた。もちろん、これで安心ということは決してないが、まずは医療機関にとっても、患者にとっても好ましい傾向といってよいだろう。今後ともこの傾向を維持していくように努めていきたい。

 そこで、まだ企画の段階ではあるが、10年3月開催の「医療安全シンポジウム」で、この事例集を詳細に解説する場を設ける予定である。ここで今一度、基本に立ち返って、京都で実際に発生した医事紛争事例を、会員とともに検討していくことは意義あることと思われる。医事紛争がたとえ1件でも減少すれば、それは大いに価値があると考える。

 ここに述べた医療安全対策の活動は、ほんの一部でしかない。協会は様々に医療安全対策を講じており、50年間の歴史に恥じないように、今後とも会員主体で、医療安全対策の研究を極めていきたいと考えている。

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