新規開業予定者のための講習開く
融資のポイントや集患対策を解説
協会は9月27日、勤務医を対象にした新規開業予定者のための講習会をメルパルク京都で開催した。共催は有限会社アミス。講習会では、(1)銀行融資を受ける際の留意点、(2)開業前から押さえておくべき集患対策、(3)先輩開業医からのアドバイス―をそれぞれ解説した。3講のポイントは以下の通り。
京都銀行の山下聡氏は、新規開業時に銀行から融資を受ける際に必要な資金計画・事業計画の作成方法、銀行が審査をする上でどこにポイントを置いているかについて解説した。
また、具体例のシミュレーションとして、協会の新規開業資金を使った案件等を用いて、資金計画の作成方法も提案した。
患者が“来てしまう”環境作り
社会保険労務士の河原義徳氏は、開業後の立ち上がりを少しでも早くするために、開業前から集患対策として、患者さんの思考と行動を意識した医院作りをすることの重要性について解説した。
来院動機の統計をみると、「口コミ」が上位にくることが多く、開院当初に少しでも多くの患者さんに来てもらうことで立ち上がり速度が変わる。そのために、マーケティングの考え方を応用しながら、患者さんが「来てしまう環境作り」、医院を差別化する3つの軸、有効な広告としてのホームページの活用などについて説明した。
さらに、勤務医時代と大きく変わることとして、「スタッフ雇用」の問題があることを説明。雇用関係を円滑にするために、経営者になっていない現段階で、自分の理想の上司像を覚えておくこと。やる気がないスタッフは院長の言動がそうさせていると認識すること。労使間のトラブルを避けるために、面接時点で必要なこと(強制したいこと、言いたいこと)を伝えておく。スタッフのモチベーションを下げないこと、労働基準法を知っておくことが大事であるとした。
医院の差別化にさまざまな工夫
講演する山本敏也氏
やまもと耳鼻咽喉科クリニック院長・山本敏也氏は、「開業するということ」と題して、自身の経験から得た内容を話した。
開業のきっかけは、大学病院人事では2〜3年ごとに転勤があり、そのたびに家庭の経済的な悪化が起こっていたことによる。
開業をするまでは、コンサルタントや薬屋の卸、医療機械販売会社などが新規開業を援助してくれると知らなかった。
立地条件が何よりも重要なので、開業地は1〜2年かけて探し、自分で何度も足を運んだ。医院設計にあたってはスタッフの導線やバリアフリー条例をどう活用するか、医院の顔である外観をどうするかなどを検討した。うまい話には裏がある場合があるので注意が必要。
診療所の差別化を図るために、入りやすい外観、中の様子がある程度分かるように曇りガラスを利用する、イメージキャラクターも重要、待合室に置く雑誌は他院にないものも選定する、スリッパ着用をなくす、キッズルームの充実、診察券をリライトリングカードにする等の工夫をしている。
診療姿勢は「親切・丁寧・時間をかけて診る」ことを心がけている。患者さんはすべてをよく見ている。良いこと、悪いことがインターネットに書き込まれる時代である。
目指すところは「待ってでも診てもらいたい医師」「なんでも相談できる医師」になること。
スタッフを大切にすること、家族やスタッフみんなで診療所を盛り上げるという意識を持っていることが、患者さんに喜んでもらえる医院作りになると締めくくった。
北村理事からは、地区医師会への入会についての留意点および協会共済制度やその他の活用方法について説明した。