オンライン請求問題で学習会

オンライン請求問題で学習会

義務化は法的矛盾が山積、医療人の知識・経験を集約し撤回勝ち取る

問題提起する長谷川氏(右)と田辺氏(左)

 レセプトオンライン請求義務化の問題をあらためて学び、義務化撤回運動の展望を共有する機会として、協会は7月18日、オンライン請求義務化問題学習会を開催した。最初に長谷川功理事が、医療担当者から見た問題点を提起。続いてレセプトオンライン請求義務化撤回訴訟(神奈川訴訟)弁護団長の田辺幸雄弁護士が、訴訟に至った経緯及び法律上の問題点を講演した。

 長谷川理事は、オンライン請求の問題点は、(1)全医療機関への義務化、(2)診療・健康情報など高度な個人情報の漏洩、(3)民間企業等による診療・健康情報の目的外使用、(4)コンピュータによる画一的な審査へ道を開くこと―にある。画一的審査への布石とも言える、適応病名と一致しない標準病名の使用強制、傷病名と医療行為のリンク付けを課すレセプト様式への変更が次回診療報酬改定における重要課題と指摘した。

 国の最大の目的は「医療費抑制」であり、抑制の手段として、その先には社会保障カード(社会保障番号)の導入、社会保障個人会計(個人の負担と給付の管理)が検討されている。協会はその端緒となるオンライン請求義務化の撤回運動を進めており、会員のご協力をお願いしたいと訴えた。

 田辺弁護士は、義務化の法的問題点について、(1)国民の権利義務に重大な変動を及ぼす重大な制度改定は省令で改正できない(健康保険法はここまでの白紙委任を認めていない)。(2)廃業に追い込まれることは「営業の自由の侵害」に当たる。(3)医療情報の第三者への伝達の機会を飛躍的に拡大し、国民全体のプライバシー権や個人情報漏洩で問題がある。(4)医療機関の負担に対する補償が必要。

 さらに、基本は法律で定めた上で、省令で具体化するのが憲法の原則、法律による行政の原理に基づく原則である。しかし、オンライン請求義務化や代行請求制度は、省令で勝手に新たな制度を作っており、法律による行政の原理に違反していると指摘した。義務化撤回訴訟は今後、2千人近い原告の知識・経験・思いを集約、理論化し、活用して闘っていきたいと抱負を述べた。

(学習会の全容は8月31日発行の「報告集」に掲載)

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