医界寸評（門雀庵）

　温室効果ガスの削減目標を２００５年比１５％（１９９０年比８％）にすると麻生首相が記者会見で発表した。その生中継の一部をラジオで聞いたが、「私が決断した！」がいやに耳についた。この目標について寄せられたパブリック・コメントは１万余で、一番多数を占めた目標は４％だったが「私が決断した」。経済界が難色を示しているのに「私が……」。欧米より高い目標を「私が……」。日本が世界のリーダーシップをとるため「私が……」などである。私こそ決断できるリーダーですと言いたいのであろうが、経済界などの主張と、環境省などの主張の中間をとって、“私の決断”で１％上乗せしたという妥協案のような結果であり、日本郵政の社長人事問題で総務大臣の首をすげ替えるのにひと月もかかり、突然厚生労働省の分割案が現れて消え、衆議院の解散時期も常に話題のままで、決断力・リーダーシップがあるようには思えないのだが如何であろう▼一方、太陽の活動が低水準になって、ミニ氷河期に入る可能性があるとの報道があった。少しでも温もらないようにお天道様が気遣って下さっているのであろうか。それでも、温室効果ガスの削減は人類にとって避けて通れない問題である。そうしないと、人類が勝手に滅亡することは自業自得であっても、巻き添えを受ける他の地球上の生き物に申し訳が立たない。目標は高く掲げたいものである。（門雀庵）