理事長再任にあたって/理事長 関 浩

理事長再任にあたって/理事長 関 浩

望ましい医療求め続けた60年/協会活動への共鳴とご参加を

 京都府保険医協会は設立満60周年を迎える。会員の皆様には協会に対する激励、ご支持に感謝を申し上げたい。
米国震源の世界的経済危機、金融危機が、外需頼みの日本経済を直撃する中、今年度の一般会計予算は88・5兆円、うち税収は約40兆円、残りは建設国債、赤字国債で賄うという。これはとりもなおさず、収入の倍以上の生活を借金で賄おうとするもの。

 昨年来よりの経済政策の効果が薄れそうになり、急ぎさらに補正15兆円を注ぎ込もうとしている。3年後には消えてしまう時限的財政出動ではなく将来の発展のための科学技術への投資、安心・安全への投資を優先的に手厚くするべきではないか。

 特別会計への切り込み、また公益法人・特殊法人等に対する改革意欲はどこへやら。麻生・舛添両氏の抜本的見直し発言にもかかわらず、後期高齢者医療制度は結局、名称程度の尻すぼみ。公務員改革もつまるところ骨抜き改定にとどまり、政府首脳であってもその言葉は軽く、霞ヶ関官僚支配は微塵も揺るがぬ。政治権力の土台から大きく変革しなければ日本は到底変わることはないのである。

 財政基盤が脆弱な国保に対する国庫支出はこの25年間で減らされ、市町村や被用者保険に負担を求め、「財政健全化法」で自治体に制裁強化を科し、国保保険料の引き上げを招き保険料滞納、無保険者の悪循環を生む。これに小泉構造改革の置き土産の社会保障費削減が追い打ちをかける。

 本来、国が責務を負うべき社会保障が「自己責任(病気になったのは自分のせい)」と「保険主義(加入者の保険料で成り立つ相互扶助なので払わなければ給付も受けられぬ)」という名のもと劣化し、資格証、混合診療導入などと、当然提供されるべき医療の機会が失われようとしている。「自己責任」・「保険主義」これらは社会保障としての公的医療保険とは全く相容れないものである。11年連続自殺者が3万人を超え、うち6割は貧困が原因、これはセーフティネットとしての社会保障の網が粗雑で、粗末なためだと思う。「社会保障費、医療の充実は経済波及効果あり」と当の厚生労働白書が述べている。協会が長年追求する「社会保障基本法」の立法化に一層のご理解を。協会の歴史は社会保障・医療制度への根本的な提言とともに、保険医の意見を代弁してきたものといってよい。各部の理事者、事務局が協力し、これからも会員の利益擁護、また会員が抱く不満、批判の代弁者となりたい。いかなる主義にも囚われず、望ましい医療を求めるための大衆団体を目指し、他団体との相互理解、協同に努力する。

 厳しい医療経営の折、会員を支える活動を行い、会員の様々な要望に応えていくことが必要と考えている。今後とも協会活動へのご支援、ご協力を願って、再任のご挨拶といたします。

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