日本ローカル鉄道の旅 その6(またまた特別篇)

日本ローカル鉄道の旅  その6(またまた特別篇)

京都から八戸まで 東北横断・三陸リアス北上鈍行の旅(5)

第4日 久慈―八戸―東京―京都 1145Km

小雪ちらつく久慈駅ホーム

(上)閑散とした八戸駅新幹線ホーム

(下)雑踏する東京駅新幹線ホーム

酒豪女傑添乗さんの底力にびっくり

 昨夜の夕食は、久慈のホテルから雪のちらつく寒い道を5分ばかり歩いた「よこ田ずし」で、おいしい刺身と地酒、御一行はすっかり打ちとけて談論風発の80じいさん、寡黙な70じいさん、過激な発言をする60代インテリ女性などの中に、添乗のFさんは地酒をグビグビ呑む酒豪であった。私が彼女にJRに関するマニアックな二、三の質問をしたところ、少しもあわてず「即答はできませんが調べます」との返事。夕食後にインターネットででも調べるつもりなのか。
かくして、翌朝は小雪のちらつく中、八戸線(久慈―八戸71?)久慈発10時00分八戸行観光列車「うみねこ号」に乗車、2日続けての豪華車輌に大満足、沿線の山間には紅葉にうっすらと雪がつもり、えもいわれぬ風情である。青森県に入って階上<ルビ/はしがみ>という駅に「名物いちご煮の里」の看板があった。いちご煮とはウニとアワビを煮こんだ汁物の由、変わった名前の料理があるものだ。
八戸駅は東北新幹線が延長してから立派に改築された。駅に併設された海産物売場も広くて種類も豊富、1時間の待合わせをフルに使って土産物の宅送、駅弁の購入に一行はテンヤワンヤ。
八戸発東北新幹線「はやて16号」12時54分発に落ち着き、かんビール、駅弁「八戸わっぱ」、かま天などで無事最終行程にたどりついたことに乾盃、ここで通路をへだてて坐っていた添乗のFさんから、昨夜の質問の解答を克明に記入したメモ3枚が手渡される。その情報収集力とスピードにびっくり。昨夜あれだけグビグビ呑みながら仕事はちゃんとこなしたわけで、やはり只者ではなかった。
「はやて16号」の車内販売で、今日売り出し解禁という本場のボジョレー・ヌーボーの小びんを売っていた。山形新幹線での生ビールを思い出して、東北の新幹線はアルコールに独自の思い入れを持っているのかもしれない。
東京駅で16時33分発「ひかり421号」に乗り換える。同じ新幹線でも八戸駅の閑散としたホームと東京駅ホームの雑踏の違いにびっくり。品川駅を過ぎてしばらく、思いがけず夕日を背にした富士山の雄姿が見えかくれする。何度も通った場所なのにこんなすばらしい風景は初めてで、今回の旅行の最後を飾るハイライトであった。(おわり)

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