読者のひっち俳句/隆英 選
入選 黒谷の大屋根けぶる春時雨 珠子
佳作 日差しきて足取り軽し梅花祭 珠子
散らかせし部屋に春眠むさぼりぬ 青磁
しばらくは不況紛らす花だより 善郎
親子孫絆たしかめ雛の夜 善郎
近江路や春耕の人ぽつぽつと 絢子
蘆の芽や深泥池の豊かさに 絢子
はかどらぬ確定申告や冴返る 素
頂きし北欧の塩や梅の花 素
(順不同、仮名づかい新旧自由)
短 評
珠子さん、黒谷さんと呼ばれているお寺は左京区岡崎の金戒光明寺のことです。法然が比叡山を下りて一時庵をむすんだ所で、叡山の黒谷に対し新黒谷ともよんだ由、昨年秋初めて訪ね、立派なお寺で驚きました。山門の釈迦三尊像、天井の蟠龍図がすばらしく毎年11月に公開されます。本堂の右に熊谷直実が法然に帰依して鎧を洗ったという池があります。その林泉には小島が点々とあり、最後の小島へ渡る石橋の左の植込みの腰の高さのところに「ありどおし」を見つけました。秋から冬、直径3ミリ位の赤い実をつけ蟻を刺し通せるほどの細く鋭い針があるので、山歩きで気をつけていると見つけることができます。京大の植物分類学の権威であった広江美之助先生に教わりました。千両、万両、蟻通し(有り通し)と三本植えると金が貯まるといわれたので鉢植えにしています。しかし、実が揃ってできないのでまだ金は貯まりません。耳寄りな話なので、選評を犠牲にして紹介しました。
選者吟 営巣か苔ついばみに目白来て
<応募要領>◇ハガキに5句以内、未発表のもの。応募作品は返却致しません◇住所、氏名、電話番号明記。ただし作品はペンネームで結構です◇送り先:協会保険医新聞担当◇毎月15日締切。毎月第1週号に発表します◇入選者には記念品贈呈◇作品の発表にあたり選者が添削する場合があります。あらかじめご了承下さい。