いのち輝く、芸術と社会保障のつどい 参加者アピール
力をあわせて憲法25条の実現をめざそう
わが国の21世紀は「構造改革」で始まった。その推進者達は、「官僚支配」、「既得権益」、「利益誘導」を行きづまった政治状況のシンボルとして批判し、「規制改革」や「市場化・自由化」であらゆる矛盾は解決すると訴えた。国民の声の届かない政治のあり方に疑問を抱き、あるいは絶望しつつあった多くの国民は、この呼びかけに期待をふくらませた。
しかし、いま私たちの目の前に広がるのは、格差・貧困の拡大、自殺者の増加、心を蝕まれた子どもたち、未来を見失った若者たちの理解しがたい犯罪など、荒れすさんだ社会のありさまである。
構造改革は、戦後、国民生活を辛うじて支えてきた社会と生活の基盤を破壊した。
構造改革は、人々の生命(いのち)や健康を守り、生きる希望を支える社会保障を容赦なく打ち壊した。
今、それでも「構造改革は正しかった」と言える国民がどれほどいるだろうか。
私たち国民は、黙ってはいない。「人間の使い捨て」が広がる労働現場の実態は、「年越し派遣村」などの当事者・関係者が命を懸けた取り組みで告発し、国民の前にさらされた。後期高齢者医療制度廃止を求める高齢者や医療者の怒りは、保守・革新といった従来の政治的立場を超えた大運動を生み出した。「あたりまえに生きることが益なのか」、障害者自立支援法をめぐる当事者・関係者のねばり強い運動は、ついに政治を動かすところまで国を追い詰めている。
今、世界中の新自由主義的改革を進めてきた国々において、激しい動揺が起こっている。
日本においても、国民の怒りを受け、構造改革に対する一定の見直しは進められようとしている。
しかし、残念ながら、国のあり方の根本が転換されようとしているわけではない。
むしろ、その場しのぎの不十分な見直しによって、事態は悪化する可能性すらある。
今こそ私たちは、生存権保障を規定した憲法25条の実現をめざさねばならない。それを目標に、今後の社会保障に必要な諸原則を明らかにした、社会保障基本法のような大きな構想を我々は持たねばならない。そして、社会保障制度の法改正を勝ち取り、国の政策の全体を転換させなければならない。
今日、幅広い市民と団体が、職種の違い、政治的立場の違いを超え、ここに集まった。
私たちは、力をあわせて、政府が責任をもって社会保障政策の維持と拡充を図る国へと、我が国を転換させよう。
そのために私たちは、運動と投票行動で、国会における力関係をはっきりと変え、憲法25条の実現に力を尽くす議員勢力を多数派にしよう。
「憲法25条の実現をめざす」、その一点で共同する多数の個人と団体による運動を、全国に広げよう。
2009年3月20日
いのち輝く、芸術と社会保障のつどい 参加者一同