相楽医師会と懇談
2月14日 ホテルフジタ奈良
在宅医療の条件整備への対応に苦慮
44人が参加して開かれた相楽医師会との懇談会
相楽医師会との懇談会は2月14日、ホテルフジタ奈良で開催。地区から39人、協会から5人が出席、柳澤衛副会長の司会で進められた。
冒頭、藤木新治会長は、後期高齢者医療制度やレセプトオンライン請求義務化問題など課題が山積している。懇談会では、活発な意見交換を行いたいと挨拶した。
まず地区から、昨年11月にレセプトオンライン請求義務化に関するアンケート調査を行った結果が報告された。相楽地区では廃業を考えている医師はおらず、何とか対応しようという医師が大半であった。地区から、協会は義務化撤回に向けて、昨年行ったアンケートのような実証的部分で厚労省に訴えを続けてほしい。オンライン化で得をするのは大企業の保険者だけではないか。レセプトを紙からオンラインにするといった単純な次元の話ではなく、医療の質そのものが変わってしまうことを危惧している、と述べた。
これに対し協会は、様々な企業がオンライン請求の導入に合わせて新たなビジネスの参入を企てており、すでにその説明会も行われている。患者の診療情報・健診情報は究極の個人情報であり、本人の了解を得ずに情報が公開されるのは不当である。医療機関側にとっても、請求点数が平均とかけ離れて突出している医療機関には重点的に審査が入るなど、平均点数を上回らないよう画一的な医療しか提供できない事態に追い込まれる危険がある、と説明した。
続けて協会から、レセプトオンライン化のもう1つの問題は、厚労省で検討されている社会保障カードの導入、その果ての国民総背番号制の導入である。住基ネットと相乗りの形で、レセプトにより入手した医療情報を組み込まれ、個人単位に給付と負担が管理される可能性がある。このような問題を抱えるレセプトオンライン請求義務化を撤回させる方法として、訴訟は有効であると考えている。最終的には、いかに国民の声を反映していくかがカギとなる、と強調した。
また地域連携クリティカルパスについて、現在相楽地区では、脳卒中の急性期に手挙げしている病院がない。このことを受け地区から、昨年来、在宅医療委員会を立ち上げて、様々な在宅医療の問題に対応してきた。山城南医療協議会から医師会に、条件整備の要望が来ているが、「6人体制で24時間対応」は、現時点では難しい。しかし実態としては、急性期の脳卒中患者を受け入れている病院もあり、受け入れが不十分なわけではない、と説明した。
また、脳卒中のクリティカルパスは他地区ではもう機能しているのか、との質問を受け、協会から、モデルはできているが、実態は十分に機能していない地区が多い。相楽地区と同様、クリティカルパスに手挙げしていなくても受け入れている医療機関がほとんどだろうと回答した。