日本ローカル鉄道の旅 その6(またまた特別篇) 京都から八戸まで東北横断・三陸リアス北上鈍行の旅(2)

日本ローカル鉄道の旅  その6(またまた特別篇)
京都から八戸まで東北横断・三陸リアス北上鈍行の旅(2)

第1日 京都―金沢―新潟538km(承前)
悲喜こもごも新潟の一夜

 京都駅を出発する日から数日の天気予報は最悪で、覚悟はしていたのだが、湖西線を北上するにつれて、うす曇りに時々陽のさしこむ天候に好転、今回も「絶対的晴れ男?」が同行されているのか、幸先よしと心が弾む。敦賀で駅弁(小鯛・さばずし)が配られる。見た目も味もイマイチ。金沢で特急「北越5号」新潟行に乗り換える。「雷鳥」よりスマートで瀟洒な白い車体である。糸魚川を過ぎるあたりから北陸新幹線高架工事が見え隠れするようになる。長野―金沢を結ぶ路線工事はかなり進んでいるようだが、開通は5年先か、10年先か(2014年開通予定ときく)、高貴?高齢者が初乗りできる可能性は限りなく低くなっていくわけだ。直江津あたりから冷たい雨になり、17時40分すっかり暮れてしまった新潟駅に到着、今夜の泊りは信濃川河畔の「ホテルO新潟」。Oというだけに堂々たるシティホテル、ロビーは早くもクリスマスムードで巨大なデコレーションツリーが鎮座している。

特急「北越5号」
特急「北越5号」

 夕食はホテル内和食レストランだが、注文のビールだけが来て、着物姿のウエートレスがウロウロしているのに、突出し一つ出てくるのに何と十数分、やっと出てきた料理は京都人もびっくりのうす味、北陸・東北は味が濃いのを逆にとって、文化的?な味付けを試みているのか、京の味に親しんだ我々にとってはいささか笑止千万の感がある。十数年前に新潟で1、2を争う料亭「N茶屋」で食事をした時は、地元の食材を生かした結構な味であったのを思い出して、旅人は地元の食材を生かした地元の味付けを期待しているのにと、いささかむかっ腹で黒服のマネージャーさんに「私は京都人だがこんなうす味の料理は初めて、新潟では近頃うす味が流行っているのか」とひとこと申し上げてしまった。

 食後、気分直しに信濃川にかかる長い長い万代橋を散策する。河畔の高層ビルの夜景が美しい。冷たい小雨に降られて早々にホテルに戻り、テレビでも見ようと思ったが電源が入らない。あちこちいじってもダメ。疲れていたのでそのまま寝てしまったが、一流ホテルとしてはいささかお粗末では…。

 明日からは、いよいよ東北横断・三陸海岸北上鈍行乗継ぎの旅が始まる。米坂線(坂町―米沢)、仙石線(仙台―石巻)、石巻線(石巻―女川)、山田線(釜石―宮古)、三陸北リアス線(宮古―久慈)、八戸線(久慈―八戸)と私にとっての未乗線に乗るということで心が弾む。

 今回の旅のもう1つのお目当ては東北ローカル線の紅葉である。添乗のFさんは「少し時期が遅かったのではと心配です」と言い、新潟のタクシードライバーは「ちょうど見頃でしょう」と言う。これは地元の人の言葉に期待したい。(続)

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