左京医師会との懇談会
1月10日 ウェスティン都ホテル京都
合理的な医療政策の構築に向けて
30人が出席して開かれた左京医師会との懇談会
左京医師会との懇談会は1月10日、市内ホテルで開催。地区から25人、協会から5人が出席、左京医師会・千布悦子理事の司会で進められた。
冒頭、左京医師会・東道伸二郎会長は、長期にわたる医療費抑制政策に疲弊した医療界を、金融危機による大不況を利用し、更に締めつけようとの動きがある。医療保険制度において、医師の診療スタイルを制度と保険点数で縛り、患者の適切な診察を受ける権利を奪いかねない5分間ルール、午後6時以降の診察時間料金の算定奨励など、医師だけでなく、患者も奇異と見ている。さらに、現在医療界は方向性の見えない施策に振り回されているが、医師・患者のみならず、健康な方にもわかりやすく合理的な医療政策を構築し、温かみのある診療を受けていただける余裕のある制度が進められることを希望すると挨拶した。
意見交換では、地区から後期高齢者医療制度について、基本的には大枠で反対なのは異論がないが、協会は全てを反対と考えているのか、との質問が出された。現行制度は75歳で区切るという年齢の問題と、医療費が増加するほど後期高齢者の一割の保険料負担が増えることへの懸念がある。最終的には国保も社保も一本化したものが理論的には正しいと思うが、それには相当時間がかかるだろうから、それまでの段階として、既にある65歳から74歳までの前期高齢者医療制度に吸収合併して、年金世代である65歳以上で財政調整する制度にしてはどうか、と協会側の意見を述べた。
またレセプトオンライン請求については、「時代の趨勢から電算化は仕方ないと思われるが、協会はオンライン化に反対なのか、どちらも反対の立場なのか」「個人情報が保護されず、目的外の機密漏洩などの不安が解消されないことや、一方的に強要され医療機関側がコストをかけねばならないことについて承服しかねる」「医療界の中だけでの運動ではなく、オンライン化によって国民にどのような影響を与えるのか知らしめないと大きな力にならない」など関心の高さが窺えた。協会の基本的立場はオンライン請求完全義務化の撤回である。手挙げ方式や経過措置の対象・期間の拡大を求めていく。国民には、情報漏洩の問題や、データが集約された上で医療の標準化をまねき、医療の枠を狭め混合診療導入が見え隠れすることを訴えていきたい。国民向けパンフ「あなたの診療情報は狙われている!?」を作成し、問題点を訴えているので、活用いただきたいと報告した。
その他、勤務医への配慮から夜診が奨励され、午後6時以降の診察時間内の加算点数である夜間・早朝等加算が設定されたが、診療所によっては見事に受診動向がかわり、取るところとそうでないところの診療の二極化という結果が出ているとの指摘があった。また、高齢会員への共済制度の充実、新医師会館への入居問題、地区医師会との懇談会のあり方の再考などについて意見交換をした。
最後に坂口佳司副会長から、協会は会員の方を見て仕事をするのであれば、もっと色々やってもらわねばならないことがあると思う。京都府医師会とも仲良くしていただき、両輪としての仕事をしていただきたいと結んだ。