医界寸評
明日が節分という時に少し古い話題で申し訳ないが、今年いただいた千葉の知人からの年賀状にこのようなことが書いてあった
▼《選択なき医療》昨年、地元の医師会病院が、経営難から同じ医療圏の医療法人関連の社会福祉法人に売却された。病院新築の際には医師会理事などとして、その計画段階より参画したので、医師会病院の消滅は感慨深い。その後、地域の医療は、ひとつの大病院を頂点とした単一のピラミッドを形成、その中ほどに買収された元医師会病院、底辺に我々とその大病院の経営する大規模無床診療所が存在することとなった。地域には患者紹介をできる上級医療機関はほかになく、地元を離れずに高度医療を受けるには病院の選択、つまり医療の選択ができない異常な事態で、今後必ずその弊害が現れると考えられる……というものだった
▼例年、挨拶文くらいの賀状だったので、よほどの思いがあってのものであろうと想像し、地域医療が崩壊はしなくても、このような一病院に支配されるようになるのも如何なものかと考えずにはいられない。病院が効率化を求めて、傘下に収めた病院を診療所にしてしまい、入院は本体の病院へとなった話も過日新聞に出ていた。なくなっては元も子もないことだが、残ってもこれでは利用しにくいということにもなる。医療崩壊は、地域ごとにいろいろの形で現われているようだ。
(門雀庵)