オンライン請求義務化は「違憲」と961人が提訴
2月には1500人超の原告団に
レセプトのオンライン請求義務化は「憲法違反」として、全国35都府県の保険医961人が1月21日、横浜地裁に提訴した。国を相手に「診療報酬のオンライン請求の義務化を規定した請求省令(06年・省令第111号)に従う義務が存在しないことの確認、及び1人当たり100万円の慰謝料」を求めている。
訴訟には、オンライン請求に疑問や不満を持つ保険医であれば誰でも参加できる。またオンライン請求への対応の可否は問わない。21日の提訴には間に合わなかったが、2月に行う第2次提訴へは、全国で1500人超、京都協会からも60人超が参加予定となっている(1月30日現在)。
「訴状」等の関連資料は、保険医協会ホームページ「保険医専用サイト」の「レセプトオンライン請求義務化撤回訴訟」コーナーに掲載している。訴訟の動向等も順次掲載していくのでご利用いただきたい。
原告団は、オンライン請求義務化の問題点について、オンライン請求に対応できない医師・歯科医師の切り捨て、医療機関の負担増、情報漏洩の危険性の3点を指摘。その上で、(1)法律事項であるべき診療報酬請求権の制限を省令で行うことは、国会を唯一の立法機関であると規定した憲法第41条に違反する、(2)オンライン請求義務化は営業の自由を定めた憲法第21条に違反する、(3)オンライン化は、医師から情報漏洩やそれに伴う患者からの損害賠償請求を防ぐための方法の選択権を奪い、医師らの自己決定権などを侵害している―などと主張。オンライン請求の義務は存在しないことの確認と、多大な費用負担を迫られたことなどにより受けた精神的苦痛に対する慰謝料の支払いを求めている。
原告団長の平尾紘一氏(神奈川県保険医協会理事長)は「医師不足が叫ばれる中、医療機関に多大な費用負担を迫るオンライン請求の義務化は許されない」と訴えた。原告団弁護人の小賀坂徹弁護士も「医師不足が深刻化する中でこういうことを強行すれば、国民の医療を受ける権利そのものがますます奪われていくことになる」と述べた。
マスコミ各社が問題取り上げ
本訴訟については、「日本医事新報」1月17日号で4ページの特集が組まれたほか、毎日放送(MBS)が19日にニュース番組「VOICE」、20日に「ちちんぷいぷい」で特集。MBSの取材には、京都協会も協力し、会員のインタビューも放送された(写真参照)。提訴当日は、東京のテレビ局7社、一般紙の記者30人超が取材し、ニュースや新聞等で取り上げられた。
なお、これらニュース等は各社のホームページで閲覧できる。
1月19日放送のMBS「VOICE」より