日本ローカル鉄道の旅 その5(特別篇)
京都から稚内まで 鈍行列車乗継ぎ6日間の旅(5)
北小路 博央(北)
第4日:艫作(へなし)−川部−青森−蟹田−木古内−函館 377km
初めて特急券不要の特急に乗る
9時28分艫作発川部行鈍行はガラガラでまさに貸切状態、追良瀬(おいらせ)、驫木(とどろき)、風合瀬(かそせ)など五能線特有の名の無人駅に停まっては、荒涼たる日本海の海岸線を目の下に見る車窓を楽しむ。五所川原駅では津軽鉄道の看板が懐かしい。これも昨秋に乗って往復した私鉄ローカル線だ。次回は真冬に来て地吹雪の中をストーブ列車が走る「津軽鉄道冬景色」を楽しみたいものだ。
12時2分川部発青森行鈍行に乗り換える。ロングシートで100%の混みようにびっくりする。
13時1分青森発蟹田行鈍行もロングシートだが、こちらはガラガラ、「ほたて釜めし」の駅弁が配られたが、ロングシートで弁当を食べるのは少々勇気が必要。蟹田で13時46分発特急「スーパー白鳥9号」自由席に乗り継ぐまで我慢する。「鈍行の旅」なのになぜ特急に乗るのか、答えは蟹田―(青函トンネル)―木古内間は特急しか走っていなくて、この区間に限り特急券なしで自由席に乗れるのだ。指定席はつまっていたのに自由席はガラガラで青函トンネルを含めて50分、駅弁を食べながら優雅な列車の旅を楽しんだ(特急券なしで乗れる特急区間は四国にもあった)。
蟹田駅で特急「白鳥9号」に乗り換える
15時7分木古内発函館行鈍行は函館に近づくにつれて下校の高校生でいっぱいになる。今夜の宿、函館ロイヤルホテルは駅から車で数分、堂々たるシティホテルである。夕食前に函館市電に乗ってみる。ホテル最寄りの松風町から函館ドックまで約20分、帰りは女性運転士で乗客には優しいが運転はいささか荒い。軌道に侵入する車には猛然とクラクションを鳴らすのにびっくりする。函館の女性は内柔外剛なのか。
函館の市電
自由夕食はホテル内の和風レストラン「北前船」に出かけて男性シングル3人組と一緒になる。60歳半ばから80歳までの3人はそれぞれなかなかの論客でジパングツアーについての批判がおもしろかった。結論はジパングツアーはカップル客を優遇して、独身参加の客を冷遇する、とのこと(これほどのツアーでもそうである)。何はともあれ、いかそうめんが美味くて値段が安いのに満足してシティホテルのゆったりした客室で久しぶりに熟睡した。
(続)