森永卓郎氏が税問題で講演

森永卓郎氏が税問題で講演

 京都府保険医協会も加盟している消費税廃止各界連絡会が「森永卓郎さん税金講演会」を11月29日にシルクホールで開催した。演者はテレビでおなじみの経済アナリストとあって、当日は950人が参加し、会場は消費税増税に反対する参加者の熱気であふれた。

 森永氏は、現在の不景気の原因である、原油高・穀物高・サブプライムローン問題について、なぜこれらの問題が起こったのかを解説するとともに、新自由主義がこの30年間に世界を席捲したが、今終わりつつあること、オバマ新大統領が財政出動を行うにあたり財源は「迷うことなく金持ちを増税すればいい」と言ったことを紹介した。最後に、小泉構造改革の間違いを転換することが世界の潮流になるとした。

講演する森永卓郎氏
講演する森永卓郎氏

小泉構造改革の6年間で
――株主への配当金は3倍
――大企業役員報酬は2倍
――庶民から12兆円の収奪

 小泉構造改革が始まった2002年から6年間、日本は景気拡大してきた。GDPは24兆円増え、大人一人当たり24万円、月2万円増えた。今までは、7割が働く人に還元され、3割を資本家がとっていた。小泉構造改革以後は、増えたGDPは働く人に分配されず、逆に庶民の懐から3兆円も減った。「痛みに耐えろ」といわれたが、実は、「ずっと痛んでろ」ということであった。

 この6年間で企業が株主に払った配当金は3倍、大企業の役員の報酬は2倍、増えたGDPは国際競争力の確保のために使ったのではない。自分たちの懐を潤すために使った。

 庶民は3兆円減っただけではなく、庶民を増税し6年間で5兆円の増税が行われた。社会保険料も4兆円増えた。合計12兆円が庶民の懐から減って、一人当たり12万円の年収を削られた。だから景気が良くなったと感じるわけがない。すべて資本家に行ってしまったのが実態。

 大金持ちと資本家・大企業は3兆円以上の減税を受けた。社会保障が苦しくなったから増税するのではない。金持ちを減税するために5兆円の増税をしてきた。

 また、昨年の政府税調の報告書が「日本の法人税負担は必ずしも高くない」が「法人税の引き下げが必要」としていることを紹介し、消費税増税は社会保障を充実させるために行われるのではないと批判した。

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